《1998年度春学期》

1.語学

95611 ハングル入門T

田辺校地:<2年生以上>月2(油谷幸利)、水2(梁貞模)
     <1年生対象>木2(長谷川由起子)、土1(李秀ギョン)
今出川校地:火6(油谷幸利)、金7(河村光雅)
 現代韓国・朝鮮語の文字と発音から始めて、辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に、体系的に学びます。
 韓国・朝鮮語は言語構造が日本語と非常によく似ているので、3カ月も集中的に勉強すれば簡単な手紙を書いたり小説を読んだりできるようななりますが、発音が難しいので、会話、特に聞き取りが正確にできるようになるまでにはかなり時間がかかります。受講するに際して予備知識は必要ありませんが、文字が特殊なので最初の1カ月はきちんと授業を聞いてその都度復習しておかないと、黒板の文字すら写せず、授業に取り残されることになります。
 教科書の巻末に単語リストがついているので、入門の授業を受けるだけなら、辞書は買わなくても構いませんが、次年度以降も学習を続けるつもりなら、『朝鮮語辞典』(小学館)をお奨めします。
 毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
 テキスト:『朝鮮語入門』  著者:油谷幸利   出版社:ひつじ書房

95631-001, 901 ハングル応用1(文法)

田辺校地:水1(油谷幸利)
今出川校地:火7(油谷幸利)
 ハングル入門では、論説文のような論理的に展開される文章なら一通り読みこなせるだけの力を養うことを目標に文法事項を学習しましたが、応用1では会話文における縮約や待遇法・条件文・使役と受け身などの中級文法を中心に、現代韓国・朝鮮語をさらに深く 学びます。
 辞書は『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上のものを各自用意しておくこと。
 テキスト:『朝鮮語入門 2』 著者:油谷幸利   出版社 :ひつじ書房

ハングル応用2(作文)

 ハングル入門では、文末の表現形式として、最敬体とぞんざい体のみを学びましたが、応用2では親しみを込めた丁寧な表現や友人同士で用いる形式を学びます。
また、希望・拒否・試行・難易など、さまざまな慣用句によって表現の幅を広げるとともに、命令・勧誘・禁止・やりもらい・使役や受け身などの中級文法に基づいた表現を通して、日本語との発想の相違点なども学びます。
辞書は『朝鮮語辞典』(小学館)、『日韓辞典』(民衆書林)などの中型以上のものを各自用意しておくこと。

95632-001 ハングル応用2 (作文)  李 秀ギョン

田辺校地:土2(李秀ギョン)
 この授業では、文章を作ったり訳したりする能力を高めていくことによって、将来、一人でも朝鮮語が勉強できるように基礎を整えておきます。
 今まで習ったことを体系的に整理しながら語彙を増やしていくよう配慮します。
 また、韓国の風俗・習慣など文化的な面にもふれる予定です。
   テキスト:油谷幸利『朝鮮語入門2』(ひつじ書房)

95632-901 ハングル応用2 (作文)  河村光雅

今出川校地:金6(河村光雅)
 ハングル応用では、場面に応じた文体、待遇表現、命令、勧誘、禁止など、表現する内容だけでなく、実際の場面や状況を頭に置いた上でどのように伝えるかが大切となる文法項目に進みます。
 この作文の授業では、その場面にもっともふさわしい語彙や表現を探し出すという作業を、朝鮮語を書くことを通じて行います。
 こうした語彙探し、表現探しには辞書は必ず必要です。『朝鮮語辞典』(小学館)あるいは『日韓辞典』(民衆書林)などの中型以上のものを用意して置いて下さい。
   テキスト:油谷幸利『朝鮮語入門2』(ひつじ書房)

95971-051  比較言語文化論1(日朝対照言語学)

 日本語と韓国・朝鮮語は、言語構造が似ているのみならず、敬語が存在する点や主語を省略しても構わない点をはじめとして比喩的な言い回しに至るまで共通する点が非常に多く存在しますが、詳細に検討すると、助詞のズレやテンス・アスペクトのズレなど、異なる点も多数目につきます。
 この授業では、対照言語学の基礎を講義しながら、並行して日本語と韓国・朝鮮語の音声・漢字音・助詞などの対照研究について概説します。
 受講者が韓国・朝鮮語について初級文法程度の知識を有していることを前提に授業を展開するので、注意して下さい。
テキスト:プリント教材使用
  参考書 :『朝鮮語入門』(油谷幸利,ひつじ書房)

42392  現代地域事情・講読(コリア) 1

 韓国で出版された教科書や雑誌を通して論説文に慣れた後、近代史に関する文献を読む。高校の日本史や世界史の授業では、近代における日朝関係についてほとんど学習する時間が無いのに比べて、韓国では日本の植民地支配に関して詳しく学習している。このような情報の偏りは、両国の間に正常な関係を築く上で一つの障碍になっているとさえ言える。きちんと予習した上で授業に臨むこと。
 テキスト:プリント教材使用
 参考書:『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上の朝日辞典を使用すること。
 成績評価:平常点(毎時間の発表による。単なる出席は評価の対象としない)

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2.その他

15073< 文化史特論I>[江畑 武]

あらためて言及するまでもなく,日本史研究においては中国・朝鮮史の知識を欠かせない場合がある。今回は日本史に関連する文献から「鬼道」,「風俗」,「白鹿」,「霖雨大水」,「十年一貢」などの文言をとり上げる。授業計画のiを例にとれば,「学派維持ノ儀ニ付申達」の「風俗」を中国・朝鮮史文献にたずね,その意味を理解することを第一の目的とする。ついで日本史の諸文献の「風俗」を考察して日・中・朝の同異を検討し,日本文化の特質を考える機会ともしていきたい。
 テ・教科書は使用しない。使用する史料は担当者が配布する。
 受講上の注意・授業は講義形式ですすめていくが,希望者には簡単な史料講読を担当してもらうこともある。またビデオを使用する授業も計画している。
なお,授業への積極的な参加,出席回数を評価の参考とする。

15074< 文化史特論II>  鈴木 重治]

都市遺跡としての京都からは,日本列島各地の土器や陶磁器とともに中国や朝鮮半島各地の焼物が出土する。この講義では,東アジアの代表的な陶磁器の生産地とその製品を解説した上で製品の流通と技術の伝播,陶磁器の使用法にみる地域性などについて論じたい。
なお,京都には本学の歴史資料館をはじめ出土資料を含めた陶磁器の陳列施設がいくつかあるので,レポートの作成にあたっては,展示施設の活用を積極的におこなうよう指導する。
テ・各時間に適宜資料を配布する。受講上の注意・「モノ」の観察力を身につけるため,授業への積極的参加が前提である。

16046-051< 日本文学特講VI>−51 [邊 恩田]

韓国(朝鮮)の代表的語り物“パンソリ”について,日本の語り物と対照比較する視点から講義を行う。まずパンソリの全体像を視聴覚資料と理論から概観し,特に叙述方法の「物揃え」について詳しく見ていく。作品として「春香歌」「興甫歌(朴打令)」「兎鼈歌」を講読するが,日本の語り物「浄瑠璃姫物語」,昔話「腰折れ雀」「猿の生肝」などとの対照比較をすすめて,伝播・影響関係にも及びたい。
 テ・申在孝著姜漢永・田中明訳注『パンソリ』(平凡社 1982)生協扱

17006-005<演習II>[社3年] D [服部 民夫]

アジア社会に関心を持つ学生の参加を歓迎する。その関心は,経済,宗教,政治,少数民族問題等々,その範囲は問わない。演習は大きく前期と後期に大きく別れる。前期は全員で担当を決めて本を読み,レジュメを作り,報告を行う。読書予定の本は『もっと知りたい韓国 II』(第2版,弘文堂 1997年)。後期は各人がテーマを決めて新聞のスクラップを行い,それとともに関連の書物を読み,卒論へと繋げてゆく。積極的な参加と発言を期待する。
 テ・伊藤亜人編『もっと知りたい韓国第2版』(弘文堂,1997年)

17059○<国際社会学> [服部 民夫]

日本という社会はいかなるものなのか。その中で私たちが形成している人間関係とはいかなるものなのか。そしてそれはいかなる変化をたどってきたのか。それを明らかに知るために,この講義では外国という鏡に照らして見るという比較の観点を取り入れる。その鏡は主として隣国である韓国である。家族,人間関係,組織などがこの講義での比較の対象となる。
 1.家族とは何だろう 2.家,チップ,家族 3.親族関係 4.村落・コミュニティ 5.人間関係 6.組織
 テ・服部民夫『韓国・ネットワークと政治文化』(東京大学出版会,1992年)
 参・伊藤亜人編『もっと知りたい韓国第2版』(弘分堂,1997年)

20007-002,< 演習I>[産3年]−2 [松村 彰]

産業構造の変化や技術革新の進展のなかで,いま様変わりしている雇用システムを考える。活発で自由に議論ができるクラスにしたい。当ゼミでは,企業訪問・工場見学や韓国視察研修旅行など教室外での活動や,外部から講師を招いての特別ゼミなど,多様なプログラムを設けている。ゼミに全力投球する心構えが要請される。3,4年合同クラス。
 テ・参・その都度適当なものを選ぶ。
 受講上の注意・3,4年合同クラスで運営する。したがって演習IIにも出席すること。

35801-007○<特殊講義>−7「幕末・明治期の戦争と平和」[出原 政雄]

近代日本の対外政策は,軍事大国化とアジア膨張主義を進めていったことで大変よく知られているが,この流れに果敢に抵抗し,ユニークな平和構想をかかげた人達もいたこともまた事実である。こうした戦前日本の平和思想の歴史を深く理解することは,今後のアジア諸国の人々との友好関係を築くにあたり,必要不可欠なことであると考えられる。近代日本の平和思想を大きく分けると,1.自由主義,2.社会主義,3.キリスト教の三つの潮流に分類される。この三つの潮流を担ったさまざまな人物を通して具体的に追跡したい。その際,できる限り欧米の平和思想の受容にも着目しながら講義を進めたい。まず前期で取り扱う時期は,幕末から明治末期の日露戦争のあたりまでで,日本が近代西欧国家体系に組み込まれて以後,アジア膨張主義政策が朝鮮植民地支配となって帰結するまでである。
 テ・田畑忍編『近現代日本の平和思想』(ミネルヴァ書房)
 参・田畑忍編『近現代世界の平和思想』(ミネルヴァ書房),松尾章一『近 代天皇制国家と民衆・アジア』(上)(法政大学出版局)

35803-017○<特殊講義>−17「朝鮮半島の法と文化I」[西尾 昭]

今日に至るまで長く深い歴史的・政治的関係を持つ『隣国』であるのに,外国・外国人というとすぐに欧米や白人を思い浮かべるように,この土地とそこに住む人に関する日本人の認識や関心は極めて薄いようです。
 Iではその法を産んだこの土地の歴史と文化について述べます。
 テ・西尾 昭『韓国その法と文化』(啓文社)

42305○<経済予測1>[森 一夫]

今年は,日本を含めてタイ,インドネシア,マレーシア,韓国など,アジアの金融市場の不安定な状態が,世界の経済に大きな影響をあたえている。そこで,これらのアジア経済の混迷に大きな影響をもつ,日本の景気とその予測を集中的に取り上げる。
 そのために,景気とは何か,どのようにして計測するのか,という基礎的な問題から始めて,景気の変動をもたらす,個々の要因について解説する。
 テ・森一夫著『日本の景気サイクル』(東洋経済新報社)
 参・吉川洋著『日本経済とマクロ経済学』(東洋経済新報社)
 評・未定

42351○<現代世界経済史1>[朴 一]

講義では,主に韓国と北朝鮮,中国と台湾,シンガポールとマレーシアというアジアにおける3つの分断国家に焦点をあてて,戦後の東アジアにおける民族の分断と統合,また国民経済形成のプロセスと社会変動について理解を深めていきたい。この地域の工業化の歴史は浅く,本格的な研究対象として認知されるようになったのは,1980年代に入ってからのことである。しかしこれら分断国家における国民経済の形成,さらに工業化の成功と挫折は,ある意味で戦後アジアの発展とその背後に潜んだ苦悩や矛盾を集約しているといっても過言ではない。授業では,私自身の現地報告と貴重な視聴覚教材をまじえて,東アジアにおける国民経済形成のメカニズムとその問題点について考えていきたい。
[進め方]大学の講義が聴衆に見放されてから長い歳月がたつ。まるで「セレッソ大阪対パープルサンガ」の試合のような閑散とした教室で,教授たちは毎年同じ講義を念仏のように繰り返す。講義に退屈した学生たちは,先輩たちから引き継いだ講義ノートを手にいれると,試験問題に言及する最終授業まで姿を現さない。こうして大学の教室から何人もの学生が消えていった。
 さて私の授業も,やはり受講者の期待を裏切るのだろうか。とはいえ,私自身,どうすれば学生たちに満足してもらえる授業をできるのか,短くない教員生活の中で,考え,苦しんできた。私の得た結論は,ずばりCIA授業の展開。すなわち,わかやりすく(Comprehensive),興味深く(Interesting),かつ楽しい(Amusing)授業をすれば,多くの学生たちの共感を得ることができるというものである。しかしそんな魅力的な授業はできそうにもない。せめてその一つぐらいはと考えているところである。とりあえず授業では,視聴覚教材(アジアの名作映画やビデオ)を多用したり,フィールドワークを実施したり,希望者を募ってアジアへの研修旅行を実施するなど,これまでとは一味違ったアグレッシブな授業を心掛けるつもりである。
 とはいえ一昨年,講義中に私語に走った一人の学生のために教える気力を喪失。一年間教壇から遠ざかった私のことである(といっても授業中喋っていた彼が悪いというのではない。彼に聞かせるトークができなかった自分の力量のなさに腹が立っただけである)。今年は,あまりデカイ口はたたかないことにしよう。とりあえずもう一度原点にかえって「続きを聞きたい」と思わせる感動的な授業を創造してみたい。でも一言だけ言わせてくれ。「最初っから聞く気のない奴は絶対に来るな〜」
 テ・朴一『韓国NIES化の苦悩−開発と民主化のジレンマ−』(同文館),平川・朴編『アジアNIES』(世界思想社),平野・中島・朴編『アジア発展のカオス』(勁草書房)
 評・レポートおよび本試験を重視。
 1・2は連続性をもっている。継続して履修してもらうのが望ましい。

95021-054○<英語講読1>−54 [釜池 進]

国際化が叫ばれるようになってから久しいが,その時に生じるconflictは日本人の精神構造を支えている文化との衝突である。異質なものに出会った時にどのように対応したらよいのかが分からない。その時に初めて「日本人とはなにか」という問題を突き付けられる。近年「日本人論」や「日本文化論」が盛んなのも,こういうところにその原因があるように思える。学生諸君はこの問題を見聞きはしていても,自分の問題としてそれを深く掘り下げて考える機会がなかったのではないだろうか。この視点に立ってテキストを選び,学習することにした。
 使用テキストは日本人の精神構造の深層部を抽出し,それを現代の文化的現象にあてはめて日本文化の特質を明解に解説している。著者は元韓国文化相で,この問題に欧米人とは異なる捉え方をし,その持論は画期的な日本人論として評価が高い。次の三つの章から成っている。
 1.Smaller is Better. 2.Reductionism Today 3.Expansionism and the Japan of Today
 授業では精読と速読を使い分けながら進む。
 テキストの内容に則した補助教材(プリント)を用い,理解を深める。評価は定期試験のほかに積極的な授業への参加(準備/出席)を重視する。
 テ:O-Young Lee, The Compact Culture(英宝社)S
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《1998年度秋学期》

1.語学

95612 ハングル入門U

田辺校地:<2年生以上>月2(油谷幸利)、水2(梁貞模)
     <1年生対象>木2(長谷川由起子)、土1(李秀ギョン)
今出川校地:火6(油谷幸利)、金7(河村光雅)
 春学期に引き続いて、辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に、体系的に学びます。
 後期の中心となる文法事項は、尊敬語と引用文と変則活用です。これを乗り越えると、論説文のような論理的に展開される文章なら一通りは読めるだけの力が付いたことになります。また、尊敬語は会話の基本として非常に重要で、これを正しく使いこなせないと、一人前に扱ってもらえません。
 教科書の巻末に単語リストがついているので、入門の授業を受けるだけなら、辞書は買わなくても構いませんが、次年度以降も学習を続けるつもりなら、『朝鮮語辞典』(小学館)をお奨めします。
 毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
   テキスト:油谷幸利『朝鮮語入門』(ひつじ書房)

95633-001, 901 ハングル応用3(読解)

田辺校地:水1(油谷幸利)
今出川校地:火7(油谷幸利)
 前半は会話文を中心とした文章の読解を行い、後半は論説文を中心とした文章の読解を行います。
 ハングル入門の講読用素材は分析しやすいものを用いましたが、会話文ではさかんに縮約が行われるので、将来、会話文を含む文学の読解を行うには、縮約形を原形に復元する練習が欠かせません。
 文章の読解と共に、韓国・朝鮮人の行動様式や思考様式などについても学習することになります。
辞書は『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上のものを各自用意しておくこと。
   テキスト:油谷幸利『朝鮮語入門2』(ひつじ書房)

95634 ハングル応用4(会話)

韓国・朝鮮語の言語形式は日本語と非常によく似ているので、基本的な文法さえ学べば講読と作文はかなり複雑なものでも日本語からの類推でそれなりにこなせますが、発音は日本語よりもはるかに複雑なので、会話がすらすらとこなせるようになるためにはある程 度の訓練を必要とします。
基本的な挨拶からはじめて、場面に応じた適切な会話が運用できるところまで、段階的に学びます。

95634-001 ハングル応用4 (会話)  李 秀ギョン

田辺校地:土2(李秀ギョン)
 この授業では、聞いたり話したりする能力を徐々に高め、コミュニケーションの基礎を固めることを目標にします。
 また、新しく出てきた学習事項に沿って簡単な文を作ったり訳したりする練習をしながら表現の基礎もしっかり身につけます。
 時々、韓国で流行っている歌などを覚えたり、韓国のTV番組の会話を聞いたりして、生きた言葉に親しむ機会を増やしたいと思います。
   テキスト:開講までに指示する

95632-901 ハングル応用4 (会話)  河村光雅

今出川校地:金6(河村光雅)
 文法的には易しいと言われる朝鮮語ですが、発音や聞き取りは苦手とする学習者が多いようです。朝鮮語の音に慣れ、聞いて話す朝鮮語に踏み込むために、朝鮮語の会話を聞き取る作業を中心に授業を進めます。
 また、書き言葉と比較すると、話し言葉の中では朝鮮語と日本語の発想の差がさらにはっきりと現れます。実際の映画やテレビドラマ、漫画のような話し言葉主体のテキストを通して、朝鮮語らしい言い回しにたくさん触れていきたいと思います。
   テキスト:プリント教材

95972-051  比較言語文化論2(日朝対照言語学)

 日本語と韓国・朝鮮語は、言語構造が似ているのみならず、敬語が存在する点や主語を省略しても構わない点をはじめとして比喩的な言い回しに至るまで共通する点が非常に多く存在しますが、詳細に検討すると、助詞のズレやテンス・アスペクトのズレなど、異なる点も多数目につきます。
 この授業では、対照言語学の基礎を講義しながら、並行して日本語と韓国・朝鮮語のテンス・アスペクト・使役と受け身などの対照研究について概説します。
 受講者が韓国・朝鮮語について初級文法程度の知識を有していることを前提に授業を展開するので、注意して下さい。
テキスト:プリント教材使用
  参考書 :『朝鮮語入門』(油谷幸利,ひつじ書房)

42393  現代地域事情・講読(コリア) 2

 文化や風俗に関する文献を読んだ後、韓国・朝鮮語で大学院を受験しようとする人のために、いくつかの分野から学術論文を選定して講読し、さらに独特の文体が用いられる新聞記事を講読し、韓国の生の情報に接する。きちんと予習した上で授業に臨むこと。
 テキスト:プリント教材使用
 参考書:『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上の朝日辞典を使用すること。
 成績評価:平常点(毎時間の発表による。単なる出席は評価の対象としない)

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2.その他

15073< 文化史特論I>[江畑 武]

あらためて言及するまでもなく,日本史研究においては中国・朝鮮史の知識を欠かせない場合がある。今回は日本史に関連する文献から「鬼道」,「風俗」,「白鹿」,「霖雨大水」,「十年一貢」などの文言をとり上げる。授業計画のiを例にとれば,「学派維持ノ儀ニ付申達」の「風俗」を中国・朝鮮史文献にたずね,その意味を理解することを第一の目的とする。ついで日本史の諸文献の「風俗」を考察して日・中・朝の同異を検討し,日本文化の特質を考える機会ともしていきたい。
 テ・教科書は使用しない。使用する史料は担当者が配布する。
 受講上の注意・授業は講義形式ですすめていくが,希望者には簡単な史料講読を担当してもらうこともある。またビデオを使用する授業も計画している。
なお,授業への積極的な参加,出席回数を評価の参考とする。

15074< 文化史特論II>  鈴木 重治]

都市遺跡としての京都からは,日本列島各地の土器や陶磁器とともに中国や朝鮮半島各地の焼物が出土する。この講義では,東アジアの代表的な陶磁器の生産地とその製品を解説した上で製品の流通と技術の伝播,陶磁器の使用法にみる地域性などについて論じたい。
なお,京都には本学の歴史資料館をはじめ出土資料を含めた陶磁器の陳列施設がいくつかあるので,レポートの作成にあたっては,展示施設の活用を積極的におこなうよう指導する。
テ・各時間に適宜資料を配布する。受講上の注意・「モノ」の観察力を身につけるため,授業への積極的参加が前提である。

16046-051< 日本文学特講VI>−51 [邊 恩田]

韓国(朝鮮)の代表的語り物“パンソリ”について,日本の語り物と対照比較する視点から講義を行う。まずパンソリの全体像を視聴覚資料と理論から概観し,特に叙述方法の「物揃え」について詳しく見ていく。作品として「春香歌」「興甫歌(朴打令)」「兎鼈歌」を講読するが,日本の語り物「浄瑠璃姫物語」,昔話「腰折れ雀」「猿の生肝」などとの対照比較をすすめて,伝播・影響関係にも及びたい。
 テ・申在孝著姜漢永・田中明訳注『パンソリ』(平凡社 1982)生協扱

17006-005<演習II>[社3年] D [服部 民夫]

アジア社会に関心を持つ学生の参加を歓迎する。その関心は,経済,宗教,政治,少数民族問題等々,その範囲は問わない。演習は大きく前期と後期に大きく別れる。前期は全員で担当を決めて本を読み,レジュメを作り,報告を行う。読書予定の本は『もっと知りたい韓国 II』(第2版,弘文堂 1997年)。後期は各人がテーマを決めて新聞のスクラップを行い,それとともに関連の書物を読み,卒論へと繋げてゆく。積極的な参加と発言を期待する。
 テ・伊藤亜人編『もっと知りたい韓国第2版』(弘文堂,1997年)

20007-002,< 演習I>[産3年]−2 [松村 彰]

産業構造の変化や技術革新の進展のなかで,いま様変わりしている雇用システムを考える。活発で自由に議論ができるクラスにしたい。当ゼミでは,企業訪問・工場見学や韓国視察研修旅行など教室外での活動や,外部から講師を招いての特別ゼミなど,多様なプログラムを設けている。ゼミに全力投球する心構えが要請される。3,4年合同クラス。
 テ・参・その都度適当なものを選ぶ。
 受講上の注意・3,4年合同クラスで運営する。したがって演習IIにも出席すること。

95974-005△<地域言語文化論2>−5(アジア) [名和 又介]

中国美術と社会 1997年,NHKが放映した「故宮」を中心として,中国の文化史を取り上げます。中国の美術だけではなく,その背景となる社会の問題に焦点を当て,歴史文化の理解を深めることが目的です。中国と係わる朝鮮・日本の文化にも触れたいと考えています。
 テ・なし

35801-013△<特殊講義>−13「戦後日本と東南アジア」[吉川 洋子]

東南アジア諸国のうちインドネシア,ビルマ,フィリピン,タイを中心に戦後日本との関係を地域環境をふまえて講義する。
 1日本と東南アジアの国家関係の基本的要素 2敵対戦争状態・日本軍政下フィリピン,インドネシア,ビルマ 3米国占領下の日本と連合国側東南アジア諸国・ 4米アジア冷戦下の日本と東南アジアの独立 a 対日平和条約,b 対米機軸外交,非同盟中立外交,社会主義国 c 朝鮮,ベトナム戦争 5賠償交渉と実施・ビルマ,フィリピン,インドネシア,ベトナム 6政治エリート間の結びつき・a 中国の喪失,b 旧満州,朝鮮半島,台湾の経験,人脈へのシフト,c 軍政期の人脈 7経済的密接化から南北関係へ・貿易立国日本,商社企業進出,直接投資奨励策 政府開発援助(65年円借款,66年東南アジア開発閣僚会議援助表明 アジア開発銀行80年代後半援助国第1位) 8田中首相東南アジア歴訪時の暴動1974年 a マラリ事件 b.日比通商友好航海条約のフィリピンによる阻止 9福田ドクトリン(1977年日本の東南アジア政策3原則)ASEAN,インドシナ社会主義化 10東南アジアの権威主義開発体制と日本の支援 11社会の交流・東南アジアからの出稼ぎ労働者,日本人観光客
 テ・吉川洋子ほか『戦後日本と東南アジア−ビルマを中心に』(世界思想社1998年秋学期出版予定)
 参・吉川洋子『日比賠償外交交渉の研究』(勁草書房 1991),吉川洋子『フィリピンからみた日本の敗戦』『戦後日本史と現代の課題』(築地書館1995年),矢野暢編『東南アジアと日本』(講座東南アジア学10弘文堂1989年),渡辺昭夫『戦後日本の対外政策』(有斐閣選書1985),吉川利治『日本と東南アジア』(東京書籍1992年),池端雪浦編著『日本軍政下のフィリピン』(龍渓書舎1997年),桑原靖夫『国境を超える労働者』(中公新書1991年),梶田考道『外国人労働者と日本』(NHK ブックス1994年)

35803-021△<特殊講義>−21「朝鮮半島の法と文化~」[西尾 昭]

この講義ではIで学んだ歴史や文化についての知識を基礎にしてその土地の法の歴史や韓国・共和国(=北朝鮮)の現行法について学びます。
 テ・西尾 昭『韓国その法と文化』(啓文社)

36828△<比較法文化研究2>[△柴田 光蔵 △任 大煕]

世界には多様な法文化の系列がある。国際化の進行の中で,一国の法律のみに閉じこもるのではなく,世界的な視野から自国の法状況に反省を加えるために,それぞれの国ぐにの法をその固有の文化のありかたと結びつけて広く深く理解しようとする考え方が最近になって強まっている。 世界のなかでもとりわけ日本は,異なった文化を持つ多くの国ぐにの法を受け入れながら今日の法文化を形成している。古くは律令の継受があり,明治時代にはアジアで初めて,進んだヨーロッパ法を受容し近代独立国家を建設することに成功した。
 そこで本講義では,春学期に,日本の法文化の基層を形づくっている律令を最初に取り上げ,次いで近代日本法が最も強く影響を受けた西欧法,とりわけドイツ法の継受をめぐる問題を検討する。その上で,秋学期に,近代ヨーロッパ法の共通の土台であるローマ法に目を転じ,最後にまたアジアに帰り,中国−韓国−日本という視野のなかで日本の法文化の個性に思いをめぐらせたいと考えている。 以下,講義の順番にしたがって,講義概要を示す。講義概要の趣旨,評価の方法などについては,初回の講義のさいに4人の担当者のそれぞれから説明される。
(柴田)
 (1)古代ローマの法文化を軸として,それより前の時代のギリシアの法文化を扱う。「ソクラテスの裁判」をここでとりあげる。
 (2)西洋古典古代の法文化を軸として,それ以後の時代の法文化をトータルに考察する。考察の重点は,あくまでも,現代日本の法文化の基層を探る作業におかれるが,そのさい,近年,日本で生じた多くの重要事件の原理的解析を通じて,いわば「ケース・メソッド」方式の分析を行なう予定である。毎回の講義でテーマは原則として一つずつとする。
 テ・柴田光蔵著『ことわざの法律学』(自由国民社)
(任)
 中国の法体系が東アジアに影響をおよぼしている伝統時代とは逆に,19世紀には西洋の法体系が日本を通じて中国に逆流して行く。それを理解するために19世紀の法制史及び法律思想史を検討のうえ,沈家本をはじめ岡田朝太郎・松崗義正・志田■太郎など当時の新しい法体制つくりに寄与した人物を中心にさぐって見ようとする。 なお,朝鮮時代からの法体系からはじめ,韓国での法体制変遷を理解できる試図をはかって見ようとする。国際法的な分野から目を向けたものが結局は全分野にわたって西洋式の法理論を引きうけざるを得なかった韓国近代法史の理解のためには,法学的側面の他にも国際政治学的な観点が必要であるかも知れない。

42242-001△<アジア経済2>−1[趙 鳳彬]

この講義では,現代の中国ならびアジアNIES(香港,韓国,台湾,シンガポールなど新興工業国・地域)を中心に,戦後のアジア経済の流れを包括的に取り上げるが,後期(秋)の講義は前期(春)の内容を踏まえて,アジアNIESの代表的な地域経済問題について分析する。中国返還後の香港,金融危機にさらされている韓国,中国大陸と対峙しながら成長を続けている台湾,その発展の光と影,構造的特質をあきらかにするのが,本講義の目標である。
 テ・使用しない。
 参・1.渡辺利夫編『アジア経済読本』(東洋経済),2.中野謙二他編著『香港返還−その軌跡と展望』(大修館書店),3.金宗■・大西健夫編著『韓国の経済』(早稲田大学出版会),4.朝元照雄著『現代台湾経済分析』(勁草書店)
 評・学期末の筆記試験をもとに評価する。

42352△<現代世界経済史2>[朴 一]

講義では,主に韓国と北朝鮮,中国と台湾,シンガポールとマレーシアというアジアにおける3つの分断国家に焦点をあてて,戦後の東アジアにおける民族の分断と統合,また国民経済形成のプロセスと社会変動について理解を深めていきたい。この地域の工業化の歴史は浅く,本格的な研究対象として認知されるようになったのは,1980年代に入ってからのことである。しかしこれら分断国家における国民経済の形成,さらに工業化の成功と挫折は,ある意味で戦後アジアの発展とその背後に潜んだ苦悩や矛盾を集約しているといっても過言ではない。授業では,私自身の現地報告と貴重な視聴覚教材をまじえて,東アジアにおける国民経済形成のメカニズムとその問題点について考えていきたい。
[進め方]大学の講義が聴衆に見放されてから長い歳月がたつ。まるで「セレッソ大阪対パープルサンガ」の試合のような閑散とした教室で,教授たちは毎年同じ講義を念仏のように繰り返す。講義に退屈した学生たちは,先輩たちから引き継いだ講義ノートを手にいれると,試験問題に言及する最終授業まで姿を現さない。こうして大学の教室から何人もの学生が消えていった。
 さて私の授業も,やはり受講者の期待を裏切るのだろうか。とはいえ,私自身,どうすれば学生たちに満足してもらえる授業をできるのか,短くない教員生活の中で,考え,苦しんできた。私の得た結論は,ずばりCIA授業の展開。すなわち,わかやりすく(Comprehensive),興味深く(Interesting),かつ楽しい(Amusing)授業をすれば,多くの学生たちの共感を得ることができるというものである。しかしそんな魅力的な授業はできそうにもない。せめてその一つぐらいはと考えているところである。とりあえず授業では,視聴覚教材(アジアの名作映画やビデオ)を多用したり,フィールドワークを実施したり,希望者を募ってアジアへの研修旅行を実施するなど,これまでとは一味違ったアグレッシブな授業を心掛けるつもりである。
 とはいえ一昨年,講義中に私語に走った一人の学生のために教える気力を喪失。一年間教壇から遠ざかった私のことである(といっても授業中喋っていた彼が悪いというのではない。彼に聞かせるトークができなかった自分の力量のなさに腹が立っただけである)。今年は,あまりデカイ口はたたかないことにしよう。とりあえずもう一度原点にかえって「続きを聞きたい」と思わせる感動的な授業を創造してみたい。でも一言だけ言わせてくれ。「最初っから聞く気のない奴は絶対に来るな〜」
 テ・朴一『韓国NIES化の苦悩−開発と民主化のジレンマ−』(同文館),平川・朴編『アジアNIES』(世界思想社),平野・中島・朴編『アジア発展のカオス』(勁草書房)
 評・レポートおよび本試験を重視。
 1・2は連続性をもっている。継続して履修してもらうのが望ましい。
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《1997年度》

1.語学

85601-001,901 ハングル初級 → ハングル入門1参照

85613-001 ハングル入門1 油谷幸利・松尾勇

  現代朝鮮・韓国語の文字と発音から初めて、辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に、体系的に学びます。
  朝鮮・韓国語は言語構造が日本語と非常によく似ているので、手紙を書いたり小説を読んだりするのは3カ月もあれば十分ですが、発音が難しいので、会話、特に聞き取りが正確にできるようになるまでにはかなり時間がかかります。受講するに際して予備知識は必要ありませんが、文字が特殊なので最初の1カ月はきちんと授業を聞いてその都度復習しておかないと、黒板の文字すら写せず、授業に取り残されることになります。
  6月にハングル能力検定試験の5級合格、翌年6月に4級合格が目標です。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
  テキスト:油谷幸利『朝鮮語入門』(ひつじ書房)

85613-901 ハングル入門901 → ハングル入門1参照

85623-001 ハングル読解1 油谷幸利

  前期は主にテキスト(1)と『朝鮮語入門2』(私家版プリント教材)を用いて基礎文法の復習にあて、読解に必要な文法知識、特に引用文や変則活用を原形に戻す訓練を中心に授業を行ないます。
  後期は、条件文、使役と受け身、漢字音などの中級文法を中心に現代朝鮮・韓国語をさらに深く学んだ上で、手紙文や論説文を講読します。朝鮮・韓国語は言語構造が日本語と非常によく似ているので、辞書を調べる手間さえ惜しまなければ短期間でかなり難しい文章が読めるようになります。
  毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
  テキスト(1):油谷幸利『朝鮮語入門』(ひつじ書房)
      (2):油谷幸利他『朝鮮語辞典』(小学館)

85623-901 ハングル読解901 → ハングル読解1参照

85633-001 ハングル応用1 松尾 勇

  前期は主にテキスト(1)を用いて基礎文法の復習をし、テキスト(2)を用いて、「挨拶、お礼とお詫び、紹介、訪問、時間」などの基礎会話を学びます。
  後期は、「道で、ホテルで、食堂で、郵便局で、電話、旅行、書店で、病院で、スポーツ」など、日常の具体的場面で使える実用会話を学びます。文字を通して会話を学ぶ授業という制約はありますが、ビデオを利用するなどして、言葉をより深く実感することができる機会を提供したいと思います。
  音声面ではひととおり学んだと思いますが、この授業を通じて文レベルの正確な発音・抑揚が身に付くように指導します。
  テキスト(1):油谷幸利『朝鮮語入門』(ひつじ書房)
      (2):青山・松尾『実用朝鮮語会話』(大学書林)

85633-901 ハングル応用901 梁 貞模

  本講義では、アクチュアルな会話を通して、やさしい良い表現とわかりやすい言い回しからちょっとおしゃれな会話まで使いこなせる応用力の習得に努めます。
  また「会話」と「読みもの」と「作文」を交互に組み合わせて練習し、テープなどをも併用して総合的なハングル会話の運用能力を養うことにします。さらに、言語生活の背景となる歴史や文化、風習などに対する理解を深めることによってハングルを身近く感じ親しむことを目標とします。
  テキスト:プリント教材

85971-052 比較言語文化論52(日朝対照言語学) 油谷幸利

  みなさんの中には、「主語を言わなくてもよいのが外国語にない日本語の特徴だ」とか「体系的な敬語を持つ言葉は日本語だけだ」、あるいは「日本語は非論理的な言語だ」などという言葉を聞いた人もいるかもしれませんね。しかし、これらの印象や批評は、あまりにも欧米中心の思想に毒されています。私たちの周りを見回せば、朝鮮・韓国語やモンゴル語・トルコ語など、日本語とよく似た構造を持つ言語があるにもかかわらず、これまでほとんど無視してきたと言っても過言ではありません。朝鮮・韓国語にも敬語や助詞があり(「は」と「が」の区別さえあります!)、前後関係から明らかであれば主語を省略することも可能です。
  この授業では、対照言語学の基礎を講義しながら、並行して日本語と朝鮮・韓国語の対照研究について概説します。受講者が朝鮮・韓国語についての知識が皆無の場合は、併せて初級文法の解説・演習も行います。
  テキスト:石綿敏雄・高田誠『対照言語学』(桜楓社)
  参 考 書:油谷幸利『朝鮮語入門』(ひつじ書房)

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2.その他

16046-051 日本文学特講 6 邊恩田

  この授業では、韓国(朝鮮)の古典文学の世界に親しんでもらう点にねらいを置く。なかでも“パンソリ”と呼ばれている語り物について詳しく取り上げる。
  まずパンソリの全体像を概説し、特に語り物としての特徴を理解し、日本の語り物との比較を進める基礎的知識を養いたい。また12種のパンソリの作品を概観し、特に「春香歌」「沈清歌」「興甫歌」について読解を進めて作品を味わいたい。さらに日本の作品「浄瑠璃物語」「さよひめ」「松浦長者」、昔話「腰折れ雀」との比較も試みる。
  テキスト/参考書:姜漢永・田中明訳注『パンソリ』(平凡社)

17001-001 社会学概論 1 服部民夫

  本講では初めて社会学を学ぶ学生諸君に社会学がどれほどの広がりを持っているのか、ということの理解を持って貰うことを目的とする。
  社会の変化は主として経済成長によってもたらされる場合が多い。そこで、まず最初に日本や近年の発展途上国の経済成長を材料として、簡単な経済開発論の基礎を学び、そのような成長の過程でどのような社会問題が起こるのかを概観する。しかし、経済開発の戦略がたとえ同じであっても、それはそれぞれの社会の伝統文化や社会構造によってそれぞれ異なった経路と結果をもたらすだろう。
  本講では日本、韓国を中心とする東アジアの国々が経済成長の過程でいかなる共通性と異質性を示し、それが伝統的な文化や社会のありかたとどう関わるのかを検討する。
  テキスト/参考書:教科書としては、服部民夫『韓国の経営発展』(文真堂,1988)、同『韓国ネットワークと政治文化』(東大出版社,1992)を
  参考書として渡辺利夫『開発経済学』(日本評論社,1986)、原洋之助『開発経済論』(岩波書店,1986)などを使う予定。

35803-015 コリアの文化と韓国・朝鮮法T  西尾 昭

  長い歴史を通じて深い関係が続き、また現在もその地からの民が隣人として共生しているKOREAであるが、一般に日本人は欧米への憧れに反比例してアジア地域に対しては冷淡なようで、KOREAについても日本人はその存在を無視し続けてきたために、その地に関する知識は極めて乏しく、その認識は不正確である。
  そこで、その文化と歴史を基礎にその文化の一面としての法を学ぶというのがこの講義の目的であり、「コリアの文化と韓国・朝鮮法T」ではその法の基礎となるKOREAの歴史と文化について概観するが、日本とKOREAは互いにその姿を写し合う鏡でもあるから、KOREAを学ぶことはとりもなおさず日本を客観的に認識することにもなるのである。
  我が国の大学ではKOREAの文化やその法についての講義は極めて少ないが、この科目に登録するのはKOREAに深い関心を持つ諸君である、という前提で私もその知識と情熱のすべてを傾けて講義を進めたい。
  なおこの講義のTとUは連続していて、Uの講義はTで学んだところを基礎とするから、TとUの両方を連続して受講することが望ましい。
  テキスト:西尾昭『韓国その法と文化』(啓文社)

35803-019 コリアの文化と韓国・朝鮮法U  西尾 昭

  この講義では「コリアの文化と韓国・朝鮮法T」で学んだKOREAの歴史と文化を基礎としてKOREAの法制の歴史および韓国と朝鮮(=北朝鮮)の現行法について概説する。従って、この講義の受講を実りあるものとするためにはTの講義を聴いていることが望ましい。
  テキスト:西尾昭『韓国その法と文化』(啓文社)

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