《1999年度春学期》

1.語学

95611-001 ○ハングル入門T−1   田辺

火4:油谷 幸利、 土1:田中 実
 現代韓国・朝鮮語の文字と発音から始めて,簡単な挨拶を交わしたり,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,文法を体系的に学ぶとともに,韓国・朝鮮の歴史や文化などについても紹介します。韓国・朝鮮語は言語構造が日本語と非常によく似ているので,3ヵ月も勉強すれば簡単な手紙を書いたり小説を読んだりできるようになりますが,発音が難しいので,会話が流暢にできるまでにはかなり時間がかかります。また,文字が特殊なので最初の1ヵ月はきちんと授業を聞いてよく復習しておかないと,黒板の文字すら写せず,授業に取り残されることになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>プリント教材

95611-701 ○ハングル入門T−701   田辺

火3:長谷川 由起子、土1: 李 秀Q
 文字と発音から始め,基本的で有用な語彙と表現の暗記を積み上げる中で,朝鮮語の基礎を習得します。語学ですから出席重視は当然として,授業への積極的参加が要求されます。期末テストだけでなく小テストもたびたび行いますし,宿題提出も重要です。語学学習は日々の努力の積み重ねなしに実りをあげることはできないということを肝に銘じてください。
<テキスト>プリント教材

95611-901 ○ハングル入門T−901   今出川

火6:鈴木 陽二、 金7:河村 光雅
 現代韓国・朝鮮語の文字と発音から始めて,簡単な挨拶を交わしたり,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,文法を体系的に学ぶとともに,韓国・朝鮮の歴史や文化などについても紹介します。韓国・朝鮮語は言語構造が日本語と非常によく似ているので,3ヵ月も勉強すれば簡単な手紙を書いたり小説を読んだりできるようになりますが,発音が難しいので,会話が流暢にできるまでにはかなり時間がかかります。また,文字が特殊なので最初の1ヵ月はきちんと授業を聞いてよく復習しておかないと,黒板の文字すら写せず,授業に取り残されることになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門』 (ひつじ書房)

95612-701 ○ハングル入門U−701   田辺

水1:油谷 幸利、 土2:田中 実
 ハングル入門Iに引き続いて,簡単な挨拶を交わしたり,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,体系的に韓国・朝鮮語を学びます。入門IIの中心となる文法事項は,引用文と変則活用です。変則活用は,英語のようなまったく予測のつかない変化をするのではなく,かなり体系的です。これを乗り越えると,論説文のような論理的に展開される文章なら一通りは読めるだけの力が付いたことになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>プリント教材

95612-951 ○ハングル入門U−951   今出川

火6:油谷 幸利、 金7:佐野 三枝子
 ハングル入門Tに引き続いて,簡単な挨拶を交わしたり,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,体系的に韓国・朝鮮語を学びます。入門IIの中心となる文法事項は,引用文と変則活用です。変則活用は,英語のようなまったく予測のつかない変化をするのではなく,かなり体系的です。これを乗り越えると,論説文のような論理的に展開される文章なら一通りは読めるだけの力が付いたことになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門』 (ひつじ書房)
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95631-001 ○ハングル応用1−1   田辺

土2:李 秀Q
 作文は日本語を辞書で調べ,そのまま順番に朝鮮語に置き換える作業ではなく,伝えたいことをできるだけ正確に文で表すことです。この授業では今まで学習した知識を土台に,文型,語彙,慣用句,言い回しなどを学習しながら朝鮮語らしい文を作る能力を高めていきます。同時に,日本人の間違いやすいところも指摘していきます。
<テキスト>未定

95631-901 ○ハングル応用1−901   今出川

火7:油谷 幸利
<科目参照>95631-721

95632-001 ○ハングル応用2−1   田辺

水1:梁 貞模
 一通りハングルの文法を終えた後の学習者のための作文に重点をおいた授業です。まずは,辞書を引いて簡単な文章を作ることからはじめ,最終的には手紙や日記などが書けることを目標とします。「書く」作業を通してハングルの生きた表現に触れ親しみ,ハングルを学ぶ楽しさを実感できる時間にしてゆきたいと考えています。
<テキスト>油谷幸利 朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95632-901 ○ハングル応用2−901   今出川

金6:河村 光雅
 ハングル応用では,場面に応じた文体,待遇表現,命令,勧誘,禁止など,表現する内容だけでなく,実際の場面や状況を頭に置いた上でどのように伝えるかが大切となる文法項目に進みます。この作文の授業では,その場面にもっもふさわしい語彙や表現を探し出すという作業を,朝鮮語を書くことを通じて行います。こうした語彙探し,表現探しには辞書は必ず必要です。『朝鮮語辞典』(小学館),あるいは『日韓辞典』(民衆書林)などの中型以上のものを用意しておいてください。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95633-951 ○ハングル応用3−951   今出川

土6:梁 貞模
 ハングル入門で学習した基本的文法項目を復習しながら,辞書を引いて簡単な文章を読みこなすことを目標とします。授業では親しみやすく,取り組みやすい文章を中心に,特に,最近の新聞や雑誌の記事など,いろいろな分野にわたる読み物を取り入れて,ハングルを読むテクニックと楽しさを覚えてもらいます。文章の読解力を中心としますが,単なる文章の理解にとどまらず,表現の背後にある文化的特性についてもいっしょに考えていきます。できるだけ多くの文章を読み,語彙力と表現力の向上を目指します。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95634-951 ○ハングル応用4−951   今出川

土7:梁 貞模
<科目参照> 95634-001

95651-051 ○ハングル文化事情1−51   今出川

火5:鈴木 陽二
 ハングルの基本事項(初級)を理解していることを前提にして,「聞く」「読む」という二点に重点を置いて授業を進める。最初は,日常よく使われる会話文を身につけてそれを発展させる上から,聞き取りの比較的容易な物語等のテープ又はビデオ教材を用いて学習していく。特に,会話文における助詞,接続語尾の使い方に留意しながら,それを応用してさまざまな文を創作する練習も併せて行っていく。同時に又日本語との類似点や相違点についても折に触れ指摘しながら,言葉を通してその背景にあるハングル文化圏に住む人々の考え方や社会,文化,習慣等をより包括的に学習して理解することを目標とする。
<テキスト> プリント教材

95971-051 ○比較言語文化論1−51(日朝対照言語学)   今出川

水4:油谷 幸利
 日本語と韓国・朝鮮語は,言語構造が似ているのみならず,敬語が存在する点や主語を省略しても構わない点をはじめとして比喩的な言い回しに至るまで共通する点が非常に多く存在しますが,詳細に検討すると,助詞のズレやテンス・アスペクトのズレなど,異なる点も多数目につきます。この授業では,対照言語学の基礎を講義しながら,並行して日本語と韓国・朝鮮語の音声・漢字音・助詞などの対照研究について概説します。受講者が韓国・朝鮮語について初級文法程度の知識を有していることを前提に授業を展開するので,注意して下さい。
<テキスト>プリント教材

42392 ○現代地域事情・講読(コリア)1 2単位 春学期 今出川

水3:油谷 幸利
 韓国で出版された教科書や雑誌を通して論説文に慣れた後,近代史に関する文献を読む。高校の日本史や世界史の授業では,近代における日朝関係についてほとんど学習する時間が無いのに比べて,韓国では日本の植民地支配に関して詳しく学習している。このような情報の偏りは,両国の間に正常な関係を築く上で一つの障碍になっているとさえ言える。きちんと予習した上で授業に臨むこと。
<授業計画>
 (1)論説文を読む(高校教科書):3回分。このタームでは漢字語を多く含む論説文を読むことによって漢字語彙に習熟し語彙力を高めると共に,韓国・朝鮮人の物の考え方に触れることを目的とする。
 (2)論説文を読む(一般雑誌):4回分。このタームでは,韓国の月刊雑誌を素材として韓国の生の情報に触れることを目的とする。
 (3)近代史を読む:6回分。高校の日本史や世界史の授業では,近代における日朝関係についてほとんど学習する時間が無いのに比べて,韓国では日本の植民地支配に関して詳しく学習している。このような情報の偏りは,両国の間に正常な関係を築く上で一つの障碍になっているとさえ言える。このタームでは,比較的客観的に記述された近代史の文献を講読する。
<成績評価>平常点(毎時間の発表による。単なる出席は評価の対象としない。)
<テキスト>プリント教材使用
<参考文献>『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上の朝日辞典を利用すること。
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2.その他

15123 ○文化史特論(3) 2単位 春学期 今出川

江畑 武
日本史研究に当たって,中国史・朝鮮史の知識を欠かせない場合がある。今回は
(1)「魏志倭人伝」(『三国志』魏書巻30・東夷伝倭人条)に見える「事鬼道,能惑衆・年已長大」
(2)『宋書』倭国伝(巻98・列伝58・夷蛮伝倭国条)に見える「興死弟武立,自称使持節都督倭百済新羅任那秦韓慕韓六国諸軍事安東大将軍倭国王」
の2句をとり挙げ,(1)では「鬼道」の解明を通して,東夷諸国の政治状況や卑弥呼の統治力,(2)では5世紀における東アジアの国際関係,冊封関係に対する朝鮮と日本の相違などを考えていきたい。
<授業計画>
史料の講読・解説が必要であり,詳細な日程は不明。
<成績評価>学期末の試験,授業への参加(史料の講読など)により評価する。
<テキスト>教材は配付する。

16044-101 日本文学特講−101 4単位 春・秋学期 今出川

千 二斗
日本の浄瑠璃<仮名手本忠臣蔵>と韓国のパンソリ<春香伝>を比較文学的に講読する。これに先立ちまず日本の語り物と韓国のパンソリを比較し,<仮名手本忠臣蔵>と<春香伝>の比較検討へと進行する。両者の比較を通して日韓両国の文学的個性を究明する端緒を探すことにする。
<授業計画>
1 Orientation
2 日本の語り物の輪廓
3 日本の語り物の輪廓
4 日本の語り物の輪廓
5 日本の語り物の輪廓
6 <仮名手本忠臣蔵>講読
7 <仮名手本忠臣蔵>講読
8 <仮名手本忠臣蔵>講読
9 <春香伝>講読
10 <春香伝>講読
11 <春香伝>講読
12 総合・比較
<テキスト>開講時に指示する。
<参考文献>開講の際,指示する。
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16046-051 日本文学特講−51 4単位 春・秋学期 今出川

邊 恩田
韓国(朝鮮)の代表的語り物”パンソリ”について,日本の語り物と対象比較もふくめ講義を進める。パンソリの特質を芸能の側面,表現面から概観し,作品を講読する。作品は「春香歌」「興甫歌」「兎鼈歌」をとりあげ,日本の古浄瑠璃「浄瑠璃物語」,昔話「腰折雀」「猿の生肝」などとの比較論に及ぶ。
<授業計画>
春学期1回〜4 パンソリ概観・語り物としての特質
   5〜12 作品「春香歌」を読む
      視点・作品の生成と成長、・「物揃え」論・四方四季の描写と趣向
秋学期1回〜8 作品「興甫歌」を読む
      視点・燕の報恩譚−燕と雀、・兄弟型と隣りの爺型、・ひさごと財宝
   9〜12 作品「兎鼈歌」を読む
      ・インド・中国・朝鮮・日本の伝承の姿
<テキスト> 申在 孝 著・姜 漢永・田中 明 訳註 『パンソリ』 (平凡社) 1982 生協扱
<参考文献>参考文献は,初回講義時に配布する。

16205 ○日本文学特講 2単位 春学期 今出川

千 二斗
 口碑叙事謡は世界的に遍在した芸能ジャンルであった。日本の語り物と韓国のパンソリもその一つである。語り物とパンソリは日韓両国の文学史において重要なる位置を占めている。しかも語り物とパンソリは今なお現存している演唱芸能でもある。本講座では語り物(特に浄瑠璃)とパンソリの起源,歴史,演唱の様式などを比較しながら両国の文学的個性を効果的に理解することにする。
<授業計画>
1.Orientation
2.比較文学の方法
3.中国の講唱
4.語り物芸能の淵源
5.語り物の系譜
6.〃   
7.〃   
8.パンソリ
9.〃  
10.語り物とパンソリの異同性
11.〃      
12.総合
<成績評価>テストおよびレポートなどで評価する
<テキスト>開講時に教室で指示する
<参考文献>開講時に教室で指示する

16213 ○日本文学講読(13) 2単位 春学期 田辺

千 ニ斗
日本の説経節<山椒大丈>と韓国のパンソリ<沈清歌>を比較文学的視角で講読する。この両者の講読に先立ちまず日本の語り物と韓国のパンソリの類似性と相異性などを把握し,<山椒大丈>と<沈清歌>の講読へと進行する。
両者の類似性と相異性を追求し,日韓両国の文学的個性を追求する。
<授業計画>
1   Orientation
2〜4 語り物の輪郭
5〜7 パンソリの輪郭
8〜12 山椒大丈講読
<テキスト>開講時に指示する。
<参考文献>開講時に指示する。
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17059 ○国際社会学 2単位 春学期 今出川

服部 民夫
日本という社会はいかなるものなのか。その中で私たちが形成している人間関係とはいかなるものなのか。そしてそれはいかなる変化をたどってきたのか。それを明らかに知るために,この講義では外国という鏡に照らして見るという比較の観点を取り入れる。その鏡は主として隣国である韓国である。家族,人間関係,組織などがこの講義での比較の対象となる。
<授業計画>
1.家族とは何だろう
2.家,チップ,家族
3.親族関係
4.村落・コミュニティ
5.人間関係
6.組織
<テキスト>服部 民夫 『韓国・ネットワークと政治文化』 (東京大学出版会) 1992年
<参考文献>伊藤 亜人編 『もっと知りたい韓国』 第2版 (弘分堂) 1997年

18010 ○社会問題論 4単位 春学期 田辺

Martha Mensendiek 社会福祉とは,様々な社会問題に対して問題解決にあたるということである。社会福祉を勉強することは,あらゆる社会問題を理解し,問題の根底にある構造と,問題の個人への現れを理解する必要がる。
この授業は,世界の様々な社会問題を紹介し,その構造を分析する。テーマとしては,貧困,保険,医療,障害,教育,被差別部落,先住民,女性,売買春,移住労働者(外国人労働者),開発,等であるが,それぞれ「人権」を基本的理念として問題の理解を深めたい。
<授業計画>
1.イントロダクション・福祉と人権
2.貧困と福祉
3.差別について
4.被差別部落問題
5.被差別部落問題
6.滞日外国人の権利
7.在日韓国・朝鮮人の人権
8.女性の人権
9.女性の人権
10.家族と家族問題
11.子どもの人権
12.保険・医療,アクセス権
<成績評価>感想文,レポート,出席点をもとに総合的に評価する。
<テキスト>上田 正昭 『ハンドブック 国際化のなかの人権問題』 (明石書店) 1998
<参考文献>渡辺 和子 『女性・暴力・人権』 (学陽書房) 1994 大学生協、松井 やより 『北京で燃えた女たち』 (岩波書店) 1996 大学生協、その他教室で指示する。
<備考>受講上の注意・受講生の出席と積極的,主体的参加を期待する。又,二つの授業を1セットと考えるので,1講時目の講義には必ず出席する必要がある。1講時目の講義内容についての感想文を2講時目に書くとといった形をとる。
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19003-005 新聞学演習−5 4単位 春・秋学期 今出川

浅野 健一
卒論を書くための個人研究とともに,グループまたはゼミ全体の共同研究を進める。テーマはゼミ員の討論で決める。94年度生は「人権と犯罪報道」がテーマ。95年度生は「阪神淡路大震災とメディア」。96年度は4班に分かれて,記者クラブ・沖縄とメディア・中途退職記者の意識・地方FM局を研究。97年度は松本サリンとアトランタ五輪爆弾・少年犯罪・テレビの法廷取材・ペルー事件などをもとに日米の人権と報道について比較研究をテーマに設定。98年度は「在日コリアンとマスメディア」で,韓国での研究調査ツアーを実施。徐勝氏を招いてのシンポジウムなど活発に活動している。共同研究の成果はゼミ誌「DECENCY」(毎年発行)で公表し,メディア関係者や一般市民にも実費で配布する。 3回生の時から,卒論のための個人研究を始め,文献の収集やアンケート調査を行う。自分の問題意識を持ち,現場に出かけて人々に会って調査し,文章化・映像化する研究を期待する。個人研究のテーマは日本マス・コミュニケーション学会で認められた領域であれば何でもよいが,指導教授の研究分野であるジャーナリズム論に関係しているほうが望ましい。メディアについての認識や改革のための方法論は多様であってもいいが,「社会全体が変わらなければ,メディアの改善などできない」とか「ジャーナリズム研究などをしても無駄」と考える学生は受講しない方がいい。
<授業計画>
詳しくはゼミ開始時に説明するので,概要だけ述べる。
最初のゼミで,学生たちだけの間で討議してゼミの活動計画を決める。フィールド調査を重視する。
実際に事件,裁判,集会などを取材してリポートを書いたり,メディア界で活躍するジャーナリストを招いて討論する機会をできるだけ多く持ちたい。ルポを書きたい人や将来ジャーナリストを目指す学生のために,要望があれば個人指導も行う。
時事問題で討論の機会もできるだけ多くしたい。
<テキスト>浅野ゼミ誌 『DECENCY第3号』 1998、浅野ゼミ誌 『DECENCY第4号』 1999、浅野編 『新聞に未来はあるのか』 (現代人文社) 1996、浅野編 『英雄から爆弾犯にされて』 (三書房) 1998、小林道雄 『冤罪の作り方』 (講談社文庫) 1997、伊佐千尋・渡部保夫 『日本の刑事裁判』 (中公文庫) 1991
<参考文献>新聞学原論のテキストと参考文献を読むこと。
<備考>受講上の注意・研究に関することであれば,どんな質問・要望でも歓迎する。私のできる範囲で対応したい。ゼミでの学習を学生生活の中心に据える学生に来てほしい。2年間明るく楽しいゼミ生活を送りたい学生の登録を望む。

29159-001 考古学(1)−1 2単位 春学期 田辺

大竹 弘之
考古学は,遺構・遺物といった物質資料,あるいはこれらの総体ともいうべき遺跡を手がかりに歴史を考察する学問であるが,連日のようになされる新聞・テレビ等の考古学の成果の報道によって,今や誰にも身近なものとなっている。そして歴史教科書の記述をも書き換えさせるような事実の発見に心躍らせられることさえある。また全国津々浦々で日々明らかにされる発掘調査の成果が,従来の「中央」と「地方」という図式に基づく歴史観の訂正を迫るべく,それぞれの地域アイデンティティーの確立に寄与していることも確かである。
そこで日々発表される発掘調査の成果や考古学上の発見に目を向けつつ,戦後半世紀に及ぶ考古学の研究成果を踏まえ,文化交流の視点から日本列島と朝鮮半島の関係を見てゆきたい。
<授業計画>
1 考古学と埋蔵文化財
2 考古学と年代
3 土器の話
4 同志社大学田辺校地の遺跡について
5 海を越えての交流 I
6 海を越えての交流 II
7 考古学から見た渡来人
8 須恵器のはじまり
9 韓国の前方後円形古墳“長鼓墳”とは
10 海のマツリ
11 百済の仏教文化
12 沈没船の考古学
テーマは変更することもあります。
<成績評価>期末レポートの提出と,授業内容に即した小課題。
<テキスト>使用しない。随時講義資料を配布する。
<参考文献>特になし。新聞・テレビの報道に注意しておくこと。
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33023 ○憲法特講1(比較憲法特講を含む) 2単位 春学期 今出川
33024 △憲法特講2(比較憲法特講を含む) 2単位 秋学期 今出川

釜田 泰介 〓 奉根
統治機構に関する比較研究:主に英国,アメリカ,フランス,ドイツ,韓国,日本の憲法を取り上げ,各々の統治機構の特色と直面している諸問題を考察する。
最終評価は出席とレポートで行う。

33803-053 ○文献研究1−53 2単位 春学期 今出川
33804-053 △文献研究2−53 2単位 秋学期 今出川

〓 奉根
欧米諸国,韓国等が現在直面している憲法上の諸問題を文献を通して明らかにし,日本国憲法下の問題と比較して考えてみたい。
取り上げる問題については受講者の希望をも聞きながら決定したいと考えている。

42351 ○現代世界経済史1 2単位 春学期 今出川

朴 一
東アジアにおける国民経済の形成とその苦悩
この講座では,国民国家,民族(エスニシティ),多国籍企業という3つのファクターに焦点をあてて,20世紀アジアにおける民族の分断と統合,また国民経済形成のプロセスと社会変動について理解を深めていきたい。講義では,国際関係や国際経済の主要な理論を駆使しながら,解放前後の東アジアに光をあて,この地域で展開された国際政治・経済の対立と協調,経済成長と貿易摩擦のダイナミズムについて学ぶ予定である。授業では,私自身の現地報告と貴重な映像教材をまじえて,旧植民地諸国の民族独立運動と植民地解放闘争,独立と国民経済の形成,国際紛争,経済成長と貿易摩擦,開発と民主化など,戦後東アジアの構造変動を,さまざまな角度から考察するつもりである。
<授業計画>
●現代世界経済史1:20世紀前半のアジアにおける植民地化と民族解放をめぐる攻防
1.アジアを見る眼―脱亜論から入亜論へ
2.アジア経済への分析視角(1)―世界システム論
3.アジア経済への分析視角(2)―ガーシェンクロンの仮説
4.アジア経済への分析視角(3)―中進資本主義論と第4世代工業化論
5.工業化の歴史的前提(1)―アジアにおける植民地工業化,その功罪
6.工業化の歴史的前提(2)―植民地アジアの社会構成をいかに把握するか
7.毛沢東の開発思想(1)―土地革命と整風運動
8.毛沢東の開発思想(2)―大躍進運動と文化大革命
9.蒋介石国民党による台湾占領―2・28事件の記憶
10.朝鮮戦争と朝鮮民族の分断―東アジアにおける冷戦の背景
11.忘れられた皇軍―植民地支配の残像
大学の講義が聴衆に見放されてから長い歳月がたつ。まるで「セレッソ大阪対パープルサンガ」の試合のような閑散とした教室で,教授たちは毎年同じ講義を念仏のように繰り返す。講義に退屈した学生たちは,先輩たちから引き継いだ講義ノートを手に入れると,試験問題に言及する最終授業まで姿を現さない。こうして大学の教室から何人もの学生が消えていった。
さて私の授業も,やはり受講者の期待を裏切るのだろうか。とはいえ,私自身,どうすれば学生たちに満足してもらえる授業をできるのか,短くない教員生活の中で,考え,苦しんできた。私の得た結論は,ずばりCIA授業の展開。すなわち,わかりやすく(Comprehensive),興味深く(Interesting),かつ楽しい(Amusing)授業をすれば,多くの学生たちの共感を得ることができるというものである。
しかしそんな魅力的な授業はできそうにもない。せめてその一つぐらいはと考えているところである。とりあえず授業では,視聴覚教材を多用したり,フィールドワークを実施したり,希望者を募ってアジアへの研修旅行を実施するなど,これまでとは一味違ったアグレッシブな授業を心掛けるつもりである。
<成績評価>レポートおよび本試験を重視して決定。
<テキスト>朴 一 『韓国NIES化の苦悩』 増補版 (同文館) 近刊 
平野他編 『アジア発展のカオス』 (勁草書房) 1997年 
西口・朴編 『アジア通貨危機の政治経済学』 (世界思想社) 近刊 

51112 ○アジアの経済開発戦略 2単位 春学期 今出川

西口 章雄
本講義は,以下の構成のもとで,第二次世界大戦後における世界経済の展開とかかわらせて,アジア諸国・地域の経済開発戦略の特質と経済発展について考察し,あわせて米・ソ冷戦体制崩壊後における世界経済の再編過程におけるアジア諸国・地域経済の変動(開発戦略の転換・再編)過程について考察する。
 1.アジア経済分析の枠組 2.世界経済とアジアNIESの成長構造 3.開発独裁とアジアNIESの成長パターン −韓国とシンガポールのケース 4.アセアン諸国の経済開発戦略と経済協力 5.南アジア(インド)の経済開発戦略と経済発展−通貨危機と構造調整の行方
 総合的理解度を評価のめやすとする。 <テキスト>毎回,講義用レジュメを配布する。
<参考文献>柳田侃他編著 『新版世界経済−市場経済のグローバル化−』 (ミネルヴァ書房) 1997年12月
西口章雄・朴一編著 『転換期のアジア経済』 (仮題) (世界思想社) 1999年5月出版予定
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51303 ○発展途上国経済論 2単位 春学期 田辺

山根 学
現在190ヵ国ほど存在する国家のほとんどは第2次大戦後独立した国家であり,一般的には発展途上国と呼ばれている。これらの諸国のほとんどは経済的に停滞した状態にあるが,ここで紹介する諸国は70年代から急速な発展をしている東アジアの諸国である。これらの国家がなぜ発展したのか,その可能性はどこに見られたのか,また1987年以降の経済停滞はどのような要因によって生じたのかを明らかにしたい。
アジアにおいて唯一先進国として経済力を発揮してきた日本は現在厳しい不況の中にあり,その経済動向は,アジアのみならず世界経済を揺るがすものと言われている。しかし日本経済は世界,とりわけアジア経済の動向とも密接に結び付いており,これら諸国の理解は不可欠であろう。
本講義は秋学期に設定されている「中東経済論」とセットとなりうるものであり,春の本講義では発展している途上国を,また秋では発展できていない途上国を扱う。
<授業計画>
1.(1)発展途上国の一般的情勢
 (2)途上国理論の展開と整理
2.(3)各国の現状 韓国
 (4)台湾
 (5)シンガポール
 (6)マレーシア
 (7)タイ
 (8)インドネシア
 (9)中国 1
 (10)〃  2
3.(11)経済発展の条件をめぐって1
 (12)〃      2
<成績評価>テストを行う
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《1999年度秋学期》

1.語学

95611-721 △ハングル入門T−721   田辺

火4:長谷川 由起子、 土3:李 秀Q 文字と発音から始め,基本的で有用な語彙と表現の暗記を積み上げる中で,朝鮮語の基礎を習得します。語学ですから出席重視は当然として,授業への積極的参加が要求されます。期末テストだけでなく小テストもたびたび行いますし,宿題提出も重要です。語学学習は日々の努力の積み重ねなしに実りをあげることはできないということを肝に銘じてください。
<テキスト>プリント教材

95611-971 △ハングル入門T−971   今出川

火6:油谷 幸利、 金7:佐野 三枝子
 現代韓国・朝鮮語の文字と発音から始めて,簡単な挨拶を交わしたり,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,文法を体系的に学ぶとともに,韓国・朝鮮の歴史や文化などについても紹介します。韓国・朝鮮語は言語構造が日本語と非常によく似ているので,3ヵ月も勉強すれば簡単な手紙を書いたり小説を読んだりできるようになりますが,発音が難しいので,会話が流暢にできるまでにはかなり時間がかかります。また,文字が特殊なので最初の1ヵ月はきちんと授業を聞いてよく復習しておかないと,黒板の文字すら写せず,授業に取り残されることになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>プリント教材

95612-001 △ハングル入門U−1   田辺

火4:油谷 幸利、 土1:田中 実
 春学期に引き続いて,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,体系的に韓国・朝鮮語を学びます。秋学期の中心となる文法事項は,引用文と変則活用です。変則活用は,英語のようなまったく予測のつかない変化をするのではなく,かなり体系的です。これを乗り越えると,論説文のような論理的に展開される文章なら一通りは読めるだけの力が付いたことになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>プリント教材

95612-721 △ハングル入門U−721   田辺

火3:長谷川 由起子、 土1:李 秀Q
 ハングル入門Iにひきつづき,有用な語彙・表現の暗記を更に重ねながら,自己表現を実現するための朝鮮語文法を習得します。ハングル入門I同様,出席・授業への参加度・小テスト・宿題提出などが重要です。
<テキスト>プリント教材

95612-901 △ハングル入門−901   今出川

火6:鈴木 陽二、 金7:河村 光雅  春学期に引き続いて,辞書を引いて簡単な文を作ったり訳したりするところまでを目標に,体系的に韓国・朝鮮語を学びます。秋学期の中心となる文法事項は,引用文と変則活用です。変則活用は,英語のようなまったく予測のつかない変化をするのではなく,かなり体系的です。これを乗り越えると,論説文のような論理的に展開される文章なら一通りは読めるだけの力がついたことになります。毎時間の宿題をやり遂げる意欲のある人を歓迎します。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門』 (ひつじ書房)

95631-721 △ハングル応用1−721   田辺

水1:油谷 幸利
 ハングル入門では,論説文のような論理的に展開される文章なら一通り読みこなせるだけの力を養うことを目標に文法事項を学習しましたが,応用1では会話文における縮約や待遇法・条件文・使役と受け身などの中級文法を中心に,現代韓国・朝鮮語をさらに深く学びます。辞書は『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上のものを各自用意しておいてください。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95631-971 △ハングル応用1−971   今出川

土6:梁 貞模
 ハングル入門で学習した文法的知識を一層確実なものにするとともに,それを補充していき,ハングルの読解力と表現力を高めることを目標とします。授業は,基本的文法項目の説明と,丁寧な言い方,命令,勧誘,禁止,使役と受け身などの文法に基づいて場面に応じた適切な表現を練習する作業の形式をとります。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95632-721 △ハングル応用2−721   田辺

土2:田中実
 この授業では,文章を作ったり訳したりする能力を高めていくことによって,将来,一人で朝鮮語が学習できるような基礎を整えていくことを目標とします。また,既に学習したことを体系的に整理しながら,さらに語彙を増やしていくよう配慮し,韓国の風俗・習慣などの文化的な面にも触れ,韓国をより理解していく事が出来るようにします。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95632-971 △ハングル応用2−971   今出川

土7:梁 貞模
<科目参照> 95632-001
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95633-001 △ハングル応用3−1   田辺

土2:李 秀Q
 最初は基本的な表現を覚えるようにします。その後今まで学んだことが実際の会話ではどのように使われ,どのような音で聞こえるのかをテープなどの教材や韓国のTV番組の会話を聞いて耳で確認しながら,重要な文型を覚えていきます。
<テキスト> テキスト未定

95633-901 △ハングル応用3−901   今出川

火7:油谷 幸利
 前半は会話文を中心とした文章の読解を行い,後半は論説文を中心とした文章の読解を行います。ハングル入門の講読用素材は分析しやすいものを用いましたが,会話文ではさかんに縮約が行われるので,将来,会話文を含む文学の読解を行うには,縮約形を原形に復元する練習が欠かせません。文章の読解と共に,韓国・朝鮮人の行動様式や思考様式などについても学習することになります。辞書は『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上のものを各自用意しておいてください。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ書房)

95634-001 △ハングル応用4−1   田辺

水1:梁 貞模
 このクラスでは,ハングルを読む,書く,聞く,話すという能力のうち,聞くことと話すことに重点をおいて授業を進めます。テキストにそって毎回,聞き取りと会話の練習を行い,ハングルを聞き,話すことに馴れ親しむことを目標とします。まずは,日常的な生活の中で使うやさしい会話を使いこなすことからはじめ,最終的には最も韓国語らしい言い回しまで学び,ハングルの運用能力の向上を目指します。
<テキスト>油谷 幸利 『朝鮮語入門2』 (ひつじ出版)

95634-901 △ハングル応用4−901   今出川

金6:河村 光雅
 文法的には易しいと言われる朝鮮語ですが,発音や聞き取りは苦手とする学習者が多いようです。朝鮮語の音に慣れ,聞いて話す朝鮮語に踏み込むために,朝鮮語の会話を聞き取る作業を中心に授業を進めます。また,口頭でのパターン練習や応用会話の練習もしますので,学生には授業への積極的な参加が求められます。教材は随時プリントの形で配ります。
<テキスト>プリント教材

95652-051 △ハングル文化事情2−51   今出川

火5:鈴木 陽二
 「ハングル文化事情1」で学習した事項を確認しながら,さらなる応用力並びに語彙力を高めていく。平易な会話文は勿論,ハングルの独特な言い回しや慣用的表現も併せて学習する。講義内容は社会問題や家族に関するビデオ又はテープ等の教材を用いて,より高度な文章を通して,「聞く力」「読解力」を身につける。傾向としては,題材の全体的な内容を把握して理解することに重きを置くが,ある場面における発話の一つ一つを取り上げて単語の使われ方や文の構成を考察することも適宜行っていく予定である。ハングル文化圏の社会やものの考え方などについても出来るだけ述べるようにする。
<テキスト> プリント教材
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95972-051 △比較言語文化論2−51(日朝対照言語学)   今出川

水4:油谷 幸利
 日本語と韓国・朝鮮語は,言語構造が似ているのみならず,敬語が存在する点や主語を省略しても構わない点をはじめとして比喩的な言い回しに至るまで共通する点が非常に多く存在しますが,詳細に検討すると,助詞のズレやテンス・アスペクトのズレなど,異なる点も多数目につきます。この授業では,対照言語学の基礎を講義しながら,並行して日本語と韓国・朝鮮語の語彙体系・テンス・アスペクト・使役と受け身などの対照研究について概説します。受講者が韓国・朝鮮語について初級文法程度の知識を有していることを前提に授業を展開するので,注意して下さい。
<テキスト> プリント教材

42393 △現代地域事情・講読(コリア)2 2単位 秋学期 今出川

水3:油谷 幸利
 文化や風俗に関する文献を読んだ後,韓国・朝鮮語で大学院を受験しようとする人のために,いくつかの分野から学術論文を選定して講読し,さらに独特の文体が用いられる新聞記事を講読し,韓国の生の情報に接する。きちんと予習した上で授業に臨むこと。
<授業計画>
 (1)文化・風俗を読む:4回分。日本と韓国・朝鮮は,東洋という地理的な近さに加えて,儒教文化圏という共通項を有するが,細かな点になると,かなり行動様式や思考様式の上で異なる点が存在する。このタームでは,韓国・朝鮮の文化や風俗を紹介した文献を講読する。
 (2)学術論文を読む:4回分。このタームでは,韓国・朝鮮語で大学院を受験しようとする人のために,いくつかの分野から学術論文を選定して講読する。
 (3)新聞を読む:5回分。新聞は限られた紙面に多くの情報を盛り込む必要があるために,省略その他独特の文体が用いられる。このタームでは,新聞の独特な文体に慣れると共に,韓国の生の情報に接することを目的とする。
<成績評価>平常点(毎時間の発表による。単なる出席は評価の対象としない。)
<テキスト>プリント教材使用
<参考文献>『朝鮮語辞典』(小学館)などの中型以上の朝日辞典を利用すること。
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2.その他

15124 △文化史特論(4) 2単位 秋学期 今出川

江畑 武
日本史研究に当たって,中国史・朝鮮史の知識を欠かせない場合がある。今回は
(1)『日本書紀』白雉元年2月条に見える「僧旻法師曰,此謂休祥,足為希物。伏聞,王者旁流四表,則白雉見」
(2)「学派維持ノ儀ニ付申達」(『徳川禁令考』巻15)に見える「異学流行風俗ヲ破候類有之」
の2句をとり挙げ,(1)では中国における讖緯思想の成立と禅譲の歴史,朝鮮・日本の受容とその相違,(2)では「風俗」の諸解釈と「学派維持・・・申達」の「風俗」を考えていく。
<授業計画>史料の講読・解説が必要であり,詳細な日程は不明。
<成績評価>学期末の試験,授業への参加(史料の講読など)により評価する。
<テキスト>教材は配布する。

16206 △日本文学特講 2単位 秋学期 今出川

千 二斗
日本の説経節<山椒大夫>と韓国のパンソリ<沈清歌>を理解し,両者の類似性と相異性を把握する。両者の類似性は儒教倫理の基本とも言える孝が主人公の行為の契機となっていること,クライマックスに至り主人公の母(厨子王丸の)または父(清清)が開眼するということ,主人公などが各々いわゆる人身売買によって一大受難を蒙むることになるが結局は皆ハッピイ・エンドを迎えるようになる。
しかし両者は大きな相異性を呈しているのも事実である。そのような相異性を追求することによって日本と韓国の文学的個性などを追求することにする。
<授業計画>
1.語り物(説経節)とパンソリの異国性
2.沈清歌講読
3.〃
4.〃
5.〃
6.山椒太夫講読
7.〃
8.〃
9.〃
10.沈清歌と山椒大夫の比較
11.〃
12.総合
<テキスト>開講時に教室で指示する
<参考文献>開講時に教室で指示する

16214 △日本文学講読(14) 2単位 秋学期 田辺

千 ニ斗
日本の説経節<山椒大丈>と韓国のパンソリ<沈清歌>を講読し,この両者を比較文学的視覚で検討する。そして両国文学の個性を究明する端緒を探すことにする。
<授業計画>
1〜5 沈清歌講読
6〜10 山椒大丈と沈清歌の比較
11 総合
12 総合
<成績評価>テスト,レポートなど <テキスト>開講時に指示する。
<参考文献>開講時に指示する。
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17050 △社会学特講 4単位 秋学期 田辺

谷口 裕久
 この授業では人間の「戦い」を主題とする。ここで言う「戦い」とは,単に物理的な戦争のみならず,障害や困難の克服に立ち向かう人々の姿をも含んでいる。「戦い」にはさまざまな相があり,ひとえに勝者と敗者という構図・また憐憫の情や悲壮感のみから解されるものでもない。歴史や現状のなかにそれぞれを位置づけ,その意味を把握することによってはじめて理解可能となる。
 講義では具体的な個々の例を社会学的かつ文化人類学的に分析し,検討を行う。各事例は私たちの日常世界から遠くかけ離れたところで発生することがらなのではない。単なる事情通となるに止まらず,分析するに十分な視野を養うのがこの授業での到達目標である。これらをふまえた上で真摯に受講すること。
 考察するテーマは以下の通りである。(1)単純技術社会における儀礼的戦闘(東南アジア),(2)植民地支配と伝統の保持・伝統としての女子割礼への反旗(アフリカ),(3)世界的大戦・内戦・民族紛争・宗教紛争のありさま(第二次大戦期における日本とアジアへの関与・朝鮮戦争と今日の38度線をめぐる状況・ルワンダ内戦・旧ユーゴスラビア紛争),(4)天安門事件と民主化運動,(5)アイヌ民族などの被抑圧者と国家,(6)阪神大震災と被災者,(7)生の危機と病者(性同一性障害保持者・ハンセン病患者・HIV感染者)  連続した授業のため,映像資料を活用することで,より深い理解への手助けとしたい。
<授業計画>
1 文化や社会・社会的存在である人間の意味や分析枠組としての社会学や文化人類学の基本的視点を理解する。
2 東南アジアにおける単純技術社会の儀礼的戦闘の意味について学ぶ。
3 アフリカにおける植民地主義の広がりや女子割礼の否定論について学ぶ。
4 第二次世界大戦期の日本とアジアへの関与について学ぶ。
5 朝鮮戦争と今日の38度線をめぐる状況について学ぶ。
6 ルワンダ内戦の諸相について学ぶ。
7 旧ユーゴスラビア紛争の諸相について学ぶ。
8 天安門事件と民主化運動のありさまについて学ぶ。
9 被抑圧者としてのアイヌ民族や沖縄人について学ぶ。
10 阪神大震災の被災者の生活状況と政策について学ぶ。
11 同時代人としての性同一性障害保持者について学ぶ。
12 同時代人としてのハンセン病患者・HIV感染者について学ぶ。
<成績評価>開講する二講時の連続受講は必須である。出席を重視するとともに,レポート(2回課す予定)から評価する。
<テキスト>未定

36219 △比較憲法2 2単位 秋学期 今出川

釜田 泰介
この講義では,20世紀における立憲主義の展開を20世紀の前半と後半に分けて,次の3点に焦点をあてながら考察する。第1は,アメリカ憲法に関する最高裁判所のルールが20世紀の前半から後半にかけてどのように変ってきたかを具体的判例を素材にして明らかにすることである。第2は,アメリカ最高裁の100 年の歩みと重なる時期に周辺諸国においてどのような憲法をめぐる動向が見られたかを比較の視点で見ることである。そして第3は,日本国憲法52年の展開過程の中で日本最高裁が下した諸判例を比較憲法的に分析することでその特色を考えてみることである。
<授業計画>
1〜2回 20世紀立憲主義の展開:国家レベルから国際社会へ
3〜4回 1900〜1920:革進主義と司法部の保守性,1906年ロシア憲法,中国(1912),メキシコ(1917),ソ連(1918),ワイマール(1919)憲法
5〜6回 1920〜1940:ニューディールと司法部,二重の基準
7〜8回 1941〜1945:第2次大戦と立憲主義
9〜10回 1946〜1952:冷戦下の憲法問題,日本(1946),イタリア(1946),韓国(1948),ドイツ(1949),インド(1950)憲法
11〜12回 1953〜1969:ウォレンと憲法革命,ヨーロッパ地域社会における立憲主義
13〜14回 1970〜1986:性差別と法の下の平等,ECの拡大
15回 1990年代:財産権再考,東欧社会の新憲法,ロシア(1993)憲法,南ア(1994)憲法,英国の変化(1998)
<成績評価>最終試験で評価する。
<テキスト>使用しない。関連資料を配布。
<参考文献>樋口・吉田編 『世界憲法集』 3版 (三省堂) 1994
 木下・藤倉他編 『英米判例百選』 (有斐閣)
  芦部編 『アメリカ憲法判例』 (有斐閣) 1998
 

42352 △現代世界経済史2 2単位 秋学期 今出川

朴 一
東アジアにおける国民経済の形成とその苦悩
この講座では,国民国家,民族(エスニシティ),多国籍企業という3つのファクターに焦点をあてて,20世紀アジアにおける民族の分断と統合,また国民経済形成のプロセスと社会変動について理解を深めていきたい。講義では,国際関係や国際経済の主要な理論を駆使しながら,解放前後の東アジアに光をあて,この地域で展開された国際政治・経済の対立と協調,経済成長と貿易摩擦のダイナミズムについて学ぶ予定である。授業では,私自身の現地報告と貴重な映像教材をまじえて,旧植民地諸国の民族独立運動と植民地解放闘争,独立と国民経済の形成,国際紛争,経済成長と貿易摩擦,開発と民主化など,戦後東アジアの構造変動を,さまざまな角度から考察するつもりである。
<授業計画>
●現代世界経済史2:20世紀後半のアジアにおける国民経済の形成とその苦悩
1.アジアの工業化と外資―後発性利益と不利益
2.多国籍企業と従属的発展―技術移転をめぐる攻防
3.アジアの工業化と政府の役割(1)―開発独裁とは何か
4.台湾の工業化と権威主義―蒋介石体制の功罪
5.シンガポールにおける国民統合―人民行動党による労働者管理
6.韓国の高度成長と開発独裁―朴維新体制下の開発と社会変動
7.ポスト権威主義の時代―産業民主化の苦悩
8.アジアにおける分断と統合―香港と大陸中国の行方
9.工業化の担い手―アジアの経済発展と華人の役割
10.東アジアの構造変動―アジアNIESのインパクト
11.アジアにおける国際労働力移動―激化する外国人労働者問題
12.通貨危機と21世紀アジア経済の行方―アジアは通貨流動性の危機にどう対処するか
大学の講義が聴衆に見放されてから長い歳月がたつ。まるで「セレッソ大阪対パープルサンガ」の試合のような閑散とした教室で,教授たちは毎年同じ講義を念仏のように繰り返す。講義に退屈した学生たちは,先輩たちから引き継いだ講義ノートを手に入れると,試験問題に言及する最終授業まで姿を現さない。こうして大学の教室から何人もの学生が消えていった。
さて私の授業も,やはり受講者の期待を裏切るのだろうか。とはいえ,私自身,どうすれば学生たちに満足してもらえる授業をできるのか,短くない教員生活の中で,考え,苦しんできた。私の得た結論は,ずばりCIA授業の展開。すなわち,わかりやすく(Comprehensive),興味深く(Interesting),かつ楽しい(Amusing)授業をすれば,多くの学生たちの共感を得ることができるというものである。
しかしそんな魅力的な授業はできそうにもない。せめてその一つぐらいはと考えているところである。とりあえず授業では,視聴覚教材を多用したり,フィールドワークを実施したり,希望者を募ってアジアへの研修旅行を実施するなど,これまでとは一味違ったアグレッシブな授業を心掛けるつもりである。
<成績評価>レポートおよび本試験を重視して決定。
<テキスト>朴 一 『韓国NIES化の苦悩』 増補版 (同文館) 近刊 
平野他編 『アジア発展のカオス』 (勁草書房) 1997年 
西口・朴編 『アジア通貨危機の政治経済学』 (世界思想社) 近刊 

51319 △東南アジア経済論 2単位 秋学期 今出川

西口 章雄
アジア世界は,多様な言語,文化,宗教が交錯し,多民族がそれぞれ独自な国家体制(統治の様式と原理)のもとで共存してきた多元的・異質的社会によって構成されてきた。このような多様性を内包しつつアジア諸国・地域の経済は,独自な経済開発・工業化戦略を展開しつつ,貿易や資本取引など国際経済取引のネット・ワークを通じて様々な仕方で世界経済(国際分業体制)に接合されてきた。アジア諸国の開発戦略において,1960年代から80年代の中頃まで,国際分業をベースとした工業製品輸出主導のNIES型(東アジア),農業関連工業製品輸出と内・外民間企業主導の外向的輸入代替工業化・輸出促進政策を連動したNAIC型(タイ),国際分業から相対的に自立した国民的再生産圏の構築を目指して,内・外民間企業活動にたいする厳しい規制下で,国家主導の内向的輸入代替工業化・輸出促進政策を展開してきた「自立経済」型(インド・インドネシア)という3類型を抽出することができる。講義では,以上の3類型の特徴に言及しながら,ASEAN3国に焦点を当てて,国家形態との関わりにおいてアジア諸国における開発戦略の内実について考察する。
1980年代の後半以降,とりわけ米ソ冷戦体制崩壊後における世界経済は,諸国民経済の一層の統合化へ向かって進行している。アジア諸国もまた,この潮流への自国経済の統合の道を模索しつつ,大きな変容を遂げつつある。この過程において,1997年7月のタイにおける通貨危機がアジア諸国に伝染し,今日アジア諸国はIMF主導の構造調整下で深刻な経済危機に直面している。講義では,最後に,構造調整下のアジア経済の諸問題と課題について究明したい。
<授業計画>
A.アジア経済分析の方法−世界経済のなかのアジア−
 1.世界経済とグローバル・システム
 2.覇権の構造
 3.経済開発の国際的枠組
B.現代世界経済とアジアNIESの成長構造
 1.輸出主導型経済成長と世界経済
 2.開発独裁とNIES的発展の型
  (1)韓国 (2)台湾 (3)シンガポール (4)香港
C.多人種・複合文化社会における工業化・経済開発
 1.タイ:国家形態と経済開発−NAIC型経済発展の軌跡−
 (1)国家形態と経済開発計画・工業化
 (2)NAIC型工業化の展開
 (3)工業化と経済構造の変容
 2.マレーシア:国民統合とブミプトラ政策
 (1)国家形態と経済開発計画
 (2)ブミプトラ政策(NEP)下の工業化−「経済の政治化」−
 (3)工業化と経済構造の変容
 3.インドネシア:開発独裁下のフルセット主義工業化
 (1)「新秩序体制」下の工業化
 (2)軍の経済進出と支配層への転化−クローニー資本主義の形成−
 (3)「新秩序体制」下における経済開発の矛盾
D.ASEANにおける経済協力の展開と変容−集団的輸入代替工業化から工業化へ−集団的輸出指向(国際分業型)
E.アジア通貨危機とIMF主導下の構造調整
<テキスト>西口 章雄・朴 一 『転換期のアジア経済(仮題)』 (世界思想社) 1999年5月出版予定
  講義はテキストと講義用に配布するレジュメに基づいて行う。
<参考文献>平川 均 『NIES−世界システムと開発−』 (同文館) 1992年7月
 末廣 昭 『タイ−開発と民主主義−』 (岩波新書) 1993年9月 
堀井 健三編 『マレーシアの工業化−多人種国家と工業化の展開−』 (アジア経済研究所) 1991年3月 
白石 隆 『インドネシア−国家と政治−』 (リブロポート) 1992年3月 
柳田 侃・奥村 茂次・尾上 修悟 『新版 世界経済−市場経済のグローバル化』 (ミネルヴァ書房) 1998年1月 
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