【カナタ電話第1巻第3号】

キーワード:뜨거운 감자の意味は

Q:(第1巻第3号:1991年秋)新聞で「뜨거운 감자(熱いジャガイモ)」という言葉が使われているのを見ましたが、どういう意味でしょうか。
A:뜨거운 감자は英語の'hot potato'を直訳した言葉で,「非常に微妙なために誰も扱いたがらない難しい問題」を意味しますが,主として政治的な問題や社会問題に使われます。A Concise Dictionary of Slang and Unconventional English(1989,edited by Paul Beale, London:Routledge)によれば,この言葉は1954年頃にアメリカ英語に導入され,1965年ごろに口語として定着したそうです。
 
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キーワード:한번の分かち書きは

Q:(第1巻第3号:1991年秋)’한번(−番)’の分かち書きはどのようにすればよいのでしょうか。
A:(番)’が順序や出来事の回数を示す依存名詞として用いられた場合には,’한 번, 두 번, 세 번・・・’のように分かち書きしなければなりません。
 しかし,’한번’が'한번 해 보다.','한번 엎지른 물은 다시 주워 담지 못한다.','한번 쥐면 펼 줄 모른다.'などのように,’한 번’とは別の意味になり,意味上一単位として用いられる時には,ひとつの単語なので続けて書かねばなりません。’한번 해 보다.’も,「ひとまずやってみる」という意味で使われるのではなくて「2回やってみる」というように,’두 번, 세 번・・・’などと置き換えても意味が通じる場合には分かち書きしなければなりません。
 
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キーワード:重複要素の省略

Q:(第1巻第3号:1991年秋)次の文のどこが間違っているのか教えてください。
 인간은 신을 숭배하지만 도전하기도 한다.
A:一般的にいかなる言語でも重複する要素は省略が可能です。例えば,「나는 헤엄을 치고 나는 고기를 잡았다.」という文において,重複する要素「나는」を省略しても全く意味伝達に支障は生じません。このような角度から考えると,ご質問の文も,一見「神を」という共通要素が重複していると考えられそうです。しかし,この場合は完全に重複しているわけではありません。なぜなら,「숭배하다」の前では対格表示の助詞「을/를」が使われますが,「도전하다」の前では「에/에게」が使われるからです。従って,上のような場合には「인간은 신을 숭배하지만 신에게 도전하기도 한다.」としなければなりません。結局この文は,省略不可能な要素を省略したために生じた非文法的な文の例だと言えます。
 
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キーワード:무덤묘지の違い

Q:(第1巻第3号:1991年秋)私は美術関係の雑誌の編集担当者です。少し前にミケランジェロの壁画に関する記事を書いている途中で,疑問が生じました。ミケランジェロの壁画が무덤に描かれたとすべきかあるいは묘지に描かれたとすべきか判断がつきませんでした。どちらが正しいのでしょうか。あるいはどちらを使っても構わないのでしょうか。
A:この問題は結局,固有語の무덤と漢字語の묘지の間にいかなる差異があるのかという問題に帰着します。二つの語彙の間にはもちろん違いがあります。固有語の무덤(はか)について,国語辞典では次のように説明しています。
 무덤(はか):死体,遺骨を土に埋め,一定の表示をしたところ。通常,表面に土を盛り上げておく。
 このような辞典上の説明を考慮すると,この語に対応する漢字語は묘지(墓地)ではなくて(墓)であることがわかります。つまり,묘지とは무덤を取り巻いている土地を指します。
 従って,問題の壁画が描かれたところを正確に把握して,ふさわしい語彙を選択すべきだと考えます。
 
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キーワード:頭音法則

Q:(第1巻第3号:1991年秋)「設立年度,一次年度」などを頭音法則に合うように書こうとすれば,「년도」と書くべきなのか,「연도」と書くべきなのか教えてください。
A:漢字音の「녀, 뇨, 뉴, 니」が語頭に現れる時は「여, 요, 유, 이」で書き,語頭以外の位置では本音通りに書くように定めたのが,ハングル正書法第10項の頭音法則規定の内容です。ところで,この第10項には語頭でない場合にも頭音法則を適用しなければならない付則があるので注意しなければなりません。すなわち,「新女性,空念仏,男尊女卑」のように接頭辞のように用いられる漢字がついた語や合成語においては,後続要素が「」の音で始まっていても頭音法則を適用して「신여성, 공염불, 남존여비」と書かねばならないと規定されています。
 これに従えば,「設立年度,一次年度」はそれぞれ「設立+年度,一次+年度」という構造に分析できるので「설립연도, 일차연도」と書かねばなりません。ただし,ハングル正書法解説(p.17)で例外を認定しているように,同じ「年度」であっても,「新年+度,旧年+度」のように分析できる合成語の場合は「신년도, 구년도」と書かねばならないという点にも留意する必要があります。
 
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キーワード:있다に接続する語尾の綴り字

Q:(第1巻第3号:1991年秋)있다の名詞形表記として「있음, 있슴」の内どちらが正しいのでしょうか。あわせて「있습니다, 있사오니」の場合とどのような違いがあるのか説明してください。
A:있다の名詞形表記としては「있음」が正しい形です。名詞形語尾「-(으)ㅁ」の表記は,子音の後では「-」,母音の後では「-」と書かねばならないからです。
 ところで,問題は,「있다, 없다」のように「ㅆ, ㅄ」パッチムの後では名詞形を「-」と書こうが「-」と書こうが発音の上では全く区別できないのみならず,「-읍니다」と「-습니다」を「-습니다」に統一させた標準語第17項の規定から誤った類推を行って「있슴, 없슴」と書くのをよく見かけることがあるという点です。また,「-사오니」の場合にも,「있아오니, 없아오니」と間違って書かれるのをよく見かけます。従って,これらの違いを総合的に比較する必要があります。
 「ㅆ, ㅄ」パッチムの後では,発音上の差異が明瞭に現れないので,理解を助けるために「ㄱ, ㄷ」パッチムで終わるものを例にあげて活用形式を表にしてみましょう。
 名詞形終結語尾連結語尾
먹다먹음(○)먹습니다(○)먹사오니(○)
먹슴(×)먹읍니다(×)먹아오니(×)
얻다얻음(○)얻습니다(○)얻사오니(○)
얻슴(×)얻읍니다(×)얻아오니(×)
 上の表でわかるように,「ㄱ, ㄷ」パッチムを持つ用言の名詞形表記は「-」が正しく,終結/連結語尾の表記は「-습니다, -사오니」が正しいのです。結局,「ㅆ, ㅄ, ㄱ, ㄷ……」など,あらゆる環境において表記の一貫性を維持するためには,名詞形は「-(으)ㅁ」,終結語尾は「-(스)ㅂ니다」,連結語尾は「-(사)오니」と書くのが正しい表記です。
 
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キーワード:ㄹ게ㄹ까の綴り字の違いについて

Q:(第1巻第3号:1991年秋)「그래, 내가 치울게.」と「이것이 무슨 뜻일까?」において,「」は共に濃音で発音されるにもかかわらず,平音と濃音で書き分ける根拠は何ですか。
A:同じように濃音で発音されるにもかかわらず,「-(으)ㄹ게」と「-(으)ㄹ까」をそれぞれ平音と濃音で書き分ける根拠は,ハングル正書法第53項の規定です。即ち,語尾「-(으)ㄹ걸, -(으)ㄹ게, -(으)ㄹ세, -(으)ㄹ세라, -(으)ㄹ수록, -(으)ㄹ시, -(으)ㄹ지, -(으)ㄹ지니라, -(으)ㄹ지라도, -(으)ㄹ지어다, -(으)ㄹ지언정, -(으)ㄹ진대, -(으)ㄹ진저, -올시다」などは平音で書くが,疑問を表す語尾「-(으)ㄹ까, -(으)ㄹ꼬, -(스)ㅂ니까, -(으)리까, -(으)ㄹ쏘냐」などは濃音で書くように規定されています。
 ところで,「ㄴ, ㄹ, ㅁ, ㅇ」パッチムの後ろで発音される濃音は,発音通り濃音で書くように定めた第5項の規定に従えば,「-(으)ㄹ께, -(으)ㄹ껄, -(으)ㄹ찌・・・・・・」のように書くのが正しいように思えますが,非疑問形語尾の場合は「-(으)ㄹ」と共に用いるという一定の条件があるのみならず,「-(으)ㄹ걸, -(으)ㄹ지」の場合は「-(으)ㄴ걸, -는지」と関連性があるので,互いに関連のある語尾の表記を統一するという点で平音で書く必要があります。
 反面,疑問形語尾の場合は,「-(스)ㅂ니까, -(으)리까」のように,パッチムの後に現れない環境の下でも常に「」という濃音で現れるので,やはり表記の一貫性を維持するために濃音で書く必要があります。
 パッチムの後という環境において全く同様に濃音で発音されるものであっても,同じ形態素がパッチムの後でない環境において平音で発音される場合がある系列の形態素(非疑問形語尾)は平音で表記し,濃音で発音される場合がある系列の形態素(疑問形語尾)は濃音で表記しなければなりません。
 
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