【カナタ電話第2巻第3号】

キーワード:닫히다닫치다 の違い

Q:(第2巻第3号:1992年秋)「닫히다(閉まる)」と「닫치다(力いっぱい閉める)」が、どのような場合に使い分けられるのか知りたいです。
A:2つとも動詞の基本形「닫다(閉める)」から出た言葉です。「닫히다」は「닫다」の被動詞であり、「닫아지다(閉まる)」と対応する言葉です。例を挙げると、「바람에 문이 저절로 닫혔다.(風で戸が自然に閉まった)」の場合に当てはまります。「닫치다」は、「닫다」の強勢語であるため、「철수가 방문을 탁 닫쳐 버린다.(チョルスがドアをばたんと閉めてしまう)」のように使われます。目に付くもうひとつの差異点は、上に例を挙げたように、被動詞「닫히다」の前には、主格助詞「」が使われ、能動詞、すなわち他動詞「닫치다」の文では、「을(를)」のような対格助詞が使われた言葉が現れることです。

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キーワード:지우다 の語法

Q:(第2巻第3号:1992年秋)「놀란 표정을 어서 지우게.(驚いた表情を早く消しなさい)」という言葉がありますが、この語法は間違っているでしょうか?
A:いいえ。間違いではありません。'지우다(消す)'は'지다(消える)'の使役形で、「現れていたものの形跡をなくなるようにする」という意味に該当します。その用例を調べると、『国語大辞典』(李煕昇編、民衆書林、1982)に「얼굴의 웃음을 지우다(顔の笑みを消す)」があります。『새우리말 큰사전』(신기철 신용철編、삼성이데아、1988)には、「부드러운 낯빛을 지우다(穏やかな顔つきを消す)」という用例があります。ですから、上の文章は文法的に間違いではありません。
 一般的に'지우다'という動詞の主体は、人ではない対象物(文字を〜、〔体の〕垢を〜、記憶を〜、消しゴムで〜)を使用し、人を表す名詞には使用しないと考えています。「 사람이 넘어지다(人が倒れる)」という表現は使用しますが、「사람이 무너지다(人が崩れる)」という表現は使用しないのも、同じような例になるでしょう。
 ところで、辞書に「웃음을 지우다(笑みを消す)」という表現が掲載されているのは、物理的作用に使用する動詞を、人にも使用するために生じる言語の「比喩的現象」のためです。すなわち、日常言語において言語の経済性が、自然に「比喩的表現」を要求するようになったものです。さらに言うと、'지우다'は「文字を消す」、「痕跡を消す」のような物理的作用にも使われますが、「表情を消す」のような表現は、「比喩的表現」です。

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キーワード:쌍둥이쌍동이

Q:(第2巻第3号:1992年秋)「쌍둥이, 쌍동이」のうち、どちらが正しいのですか?
A:쌍둥이」が正しいです。標準語規定(第8項)は、陽性母音が陰性母音に変化して固定した単語は、陰性母音形態を標準語として使うよう規定しています。'−둥이'は、語源的に'童'に'−'が付いた'−동이'で、「子供」を指し示す言葉でした。しかし今では語源的形態や意味がはっきりと認識されず、'−동이'が変化した'−둥이'がひとつの接尾辞として固定し、広く使われています。標準語規定はこのような現実を尊重して'−둥이'を標準語としたのです。
 「쌍둥이」は語源的に「双童」に接尾辞'−'が結合してできた単語で、もともとは'쌍동이'でした。しかし'쌍둥이'に変化して固定したのです。このような例として、'귀둥이(特にかわいがられている男の子)、막둥이(末っ子)、선둥이(双子のうち先に生まれた子)'などがありますが、これらはそれぞれ'귀동(貴童)막동(童)선동(先童)'から変化して固定した単語です。これらの単語は、'검둥이(色黒の人)、바람둥이(ほら吹き、浮気もの)、흰둥이(色白の人)'などと一緒で、すべて'−둥이'の形態のみが標準語であり、'−동이'の形態は標準語ではありません。
 注意することは、'−둥이'が付く'쌍둥이'は'쌍동−'ではなく'쌍둥−'が標準語ですが、'−둥이'が付かない他の単語は、広く使われるとおり、'쌍동−'の形態が標準語です。すなわち、'쌍동밤(双子栗)、쌍동딸(女の子の双子)、쌍동아들(男の子の双子)'などが標準語になります。

関連項目】 【目次に戻る


キーワード:주책없다주책이다

Q:(第2巻第3号:1992年秋)人々はよく'주책없다(定見がない)'ともいい、'주책이다(無定見だ)'ともいいますが、このように正反対の2つの語が、同じ意味で使われることができるのでしょうか? またあるときは、'주착−'ともいいます。どれが標準語ですか?
A:まず「주책」か「주착」か、からお話します。「주책」は一定のしっかりした考えを意味する言葉で、'主着'という漢字語から来た言葉です。この「주착」の母音発音が変化して「주책」に固定したのです。'標準語規定(第11項)'は、一部の単語に対して母音の発音変化を認定して、発音が変化して固定した形態を標準語とするよう規定していますが、この規定により、「주착」ではなく、「주책」が標準語となります。  一方、'주책없다'は「一定の意見や定見がなく、ああいったり、こういったりしてひどく不真面目だ」(金星版 国語大辞典)という意味を持つ標準語です。'標準語規定(第25項)は、この'주책없다'のみを標準語としており、少なくとも「無定見だ」という意味で'주책이다'を使うのは、非標準語と規定しています。
 参考として、これと同じ規定(第25項)に従う言葉として'안절부절못하다 / 안절부절하다(そわそわする)'がありますが、やはり否定辞を抜いた'안절부절하다'は標準語ではなく、'안절부절못하다'のみを標準語としています。

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キーワード:陽語幹と陰語幹, を付けるべきか を付けるべきか

Q:(第2巻第3号:1992年秋)「뱉아」と記さなければならないのか「뱉어」と記さなければならないのか、また「얇아」と記さなければならないのか「얇어」と記さなければならないのか気になります。
A:ハングル綴字法第16項に、語幹末音節の母音が「ㅏ, ㅗ」であるときは、語尾を「」と記し、その他の母音であるときには、「」と記すようになっているので、「뱉어」と記さなければなりません。俗に〔배:터〕だけではなく、〔배:타〕と発音されることもありますが、「뱉다」の語幹末音節の母音が「」でも「」でもないので、「뱉어」と記さなければなりません。「얇아」も〔얄버〕のように発音される傾向がありますが、標準形態として認定されていないため、規定により「얇아」と記さなければなりません。

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キーワード:下称禁止形,지 말아라지 마라

Q:(第2巻第3号:1992年秋)「가지 말아라」と書かなければならないのか、もしくは「가지 마라」と書かなければならないのか教えてください。
A:語幹末パッチム「」は、「ㄷ, ㅈ, 아」の前で省略されないのが原則ですが、ハングル綴字法第18項附則に、「마지못하다(やむを得ない)、마지않다(〜してやまない)、(하)다마다(〜するのはもちろんだ)、(하)자마자(〜するやいなや)、(하)지 마라(〜するな)、(하)지 마(아)(〜するな)'のような言葉では、「」が省略されたまま記すようになっています。
 日常会話では「」が省略された形態である「가지 마라」が一般的に使われます。しかし権威を強調し、教え諭す言葉においては、「가지 말아라」が使われます。その他にも、いわゆる文語体の命令や、間接引用の形式においては、「가지 말라, 읽지 말라고 하였다(読むなといった)」'のように「말라」が使用されます。

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