第98回例会
第98回例会を,以下の通り開催いたします.
[更新] プログラムが決定しました.発表要旨も合わせて掲載しています.(2025/2/4)
日時・場所
- 日時:2025年3月2日(日)10:40~17:00
- 開催場所:関西学院大学 梅田キャンパス 10階 大会場1004 *対面のみ
- 参加費用:会員無料,非会員500円
当日のご連絡は例会担当者メールへお送りください.
参加申し込み
ご参加の際には,会員・非会員を問わず,参加申し込みが必要です.以下のフォームからご登録ください.懇親会も開催を予定しておりますが,懇親会のご出席についても,以下のリンク先フォームでご回答いただけます.参加申し込みの締め切りは【2月28日(金)18時まで】とさせていただきます.お早めにお申し込みください.
※今回【対面のみ】の開催ですので,非会員の方は,会場にて直接参加費をお支払いください.
プログラム
◆ 午前の部(10:40~12:20)総合司会:松﨑真日(関西学院大学)
◎ 開会挨拶 10:40~10:45
◇ 企画講演 10:50~12:20 講演者:金炳文(김병문) 司会:朴鍾厚(同志社大学)
タイトル:「〈한글 마춤법 통일안〉성립사를 통해 본 근대의 언어사상사」(〈ハングル正書法統一案〉成立の歴史を通して見た近代の言語思想史)
講師:金炳文(김병문)(延世大学校近代韓国学研究所HK教授 연세대학교 근대한국학연구소 HK교수)
◆ 午後の部(13:50~17:00)総合司会:松﨑真日(関西学院大学)
◎ 研究発表
◇ 発表1 研究発表 13:50~14:30 発表者:油谷幸利(同志社大学名誉教授) 司会:小島大輝(近畿大学)
タイトル
韓国文学の日本語訳に現れた誤訳について
일본어로 번역된 한국문학에 나타난 오역에 대하여
発表要旨
本発表者はかつて日本文学の韓国語訳の中から誤訳を探し出したことがある。その中には羊羹を양고기,鳥居を빨간 까마귀 집と訳すなど,日本文化に対する無理解のために生じた誤訳がしばしば見受けられた。それと比べると韓国文学の日本語訳は優れたものが多いが,それでも誤訳が皆無というわけではない。本発表では誤訳のタイプを①訳語の選択間違いに基づく誤訳、②先入観に基づく誤訳、③日本語らしさの欠如、④辞書の不備に基づく誤訳、⑤訳語の欠落に基づく誤訳、⑥文法解釈の間違いに基づく誤訳、⑦誤解に基づく誤訳、⑧誤字に基づく誤訳⑨原因不明な誤訳、に分類し,それぞれの誤訳を出版された翻訳書の中からいくつか紹介する。
◇ 発表2 研究発表 14:40~15:20 発表者:宮塚寿美子(國學院大學栃木短期大学兼任講師) 司会:小島大輝(近畿大学)
タイトル
北朝鮮学研究者の視点による韓国・朝鮮語初級教材の開発
북한학 연구자의 시각에 따른 한국・조선어 초급 교재 개발
発表要旨
筆者は、2024年に韓国・朝鮮語初級テキスト『マルの不時着1』レインボー出版、を出版した。本書の大きな特徴は、①会話の舞台が北朝鮮で始まる。②韓国のみならず、北朝鮮独特の語彙や地名も使用。意味が同じでも、表記が異なる語彙の場合は「韓国式表記/北朝鮮式」のように提示。③コラムでは、「南北の言葉の違い」や「韓流は北朝鮮でも」等、韓国と北朝鮮に関する文章を載せて、韓国・朝鮮語圏への親しみやすさ、理解が深まるように工夫。④音声ナレーションは韓国人と北朝鮮人(脱北者)が担当。2024年前期からこの教材を大学の授業で使用している。開発の過程で、ナレーション担当の韓国人と脱北者が同じ民族でありつつも、韓国語と朝鮮語では文法や表現に差異があるため、お互い確認しながら精度をあげることができた。本発表では、当教材開発における試みを紹介しながら、グローバル時代における韓国・朝鮮語教材の多様化の必要性について、検討・議論したい。
◇ 発表3 研究発表 15:30~16:10 発表者:金菊熙(松山大学) 司会:崔銀景(鎮西学院大学)
タイトル
イラストを用いた語彙学習の効果 −初級韓国語学習者を対象にした「動詞」の学習事例を中心に−
일러스트를 활용한 어휘 학습의 효과 −일본 대학의 초급 한국어 학습자를 대상으로 한 ‘동사’ 어휘 학습 사례를 중심으로−
発表要旨
本研究は、初級レベルの韓国語の語彙学習の際イラストを通して言葉の意味を学ばせた場合と学習者の母語対訳のみを与えた場合とを比較して、どちらがより長期にわたって当該語彙の意味を記憶保持できるのかを調べたものである。先行研究として行われたパイロットテストでは、約40時間程度の韓国語の学習経験を持つ12名の大学生を対象に、イラスト付きの24個の語彙を60分間練習させた。そして授業の直後と約1週間後の語彙の確認テストの結果を比べたところ、イラストを用いた場合と母語の対訳のみで韓国語の単語を思い出す場合で、正答率における統計上の有意差が確認された。この結果を踏まえて本研究では、新たに2つの被験者集団を設けてイラスト付きとイラスト無し(母語対訳のみ)で韓国語の動詞の学習を行った。その上、授業直後と1週間後にそれぞれ語彙の確認テストを実施した。本発表では、実験の手順から結果、考察の内容について詳述できればと思う。
◇ 発表4 研究発表 16:20~17:00 発表者:全相律(神田外語大学) 司会:山崎亜希子(早稲田大学)
タイトル
中級レベルの韓国語学習者の発話資料における誤用分析 −神田外語大学の韓国語中級学習者を対象に−
중급 수준의 한국어 학습자의 발화 자료에 있어서의 오용분석 −간다외국어대학교 한국어 중급 학습자를 대상으로−
発表要旨
本研究は、日本の大学で韓国語を専攻する中級学習者を対象に、発話形式の課題における誤用を分析し、その誤用の類型と特徴を明らかにすることで、会話学習における効果的な指導案を提案することを目的とする。考察の結果、韓国語を専攻する中級学習者は、言語の4技能の中でも特に「会話能力の向上」を重視していることが明らかとなった。発音に関する誤用では、「二重母音」や「パッチム(終声)」、「漢字語の濃音化」についての誤用が特に多く見られた。また、文法面では、「助詞」や「連結語尾」の誤用が主要な課題として浮かび上がった。さらに、語彙や表現に関する誤用では、日本語からの干渉(interference)による「語彙」や「連語」の誤用が頻繁に見受けられた。これらの誤用は、学習者が実際の会話で韓国語を自然に使いこなす妨げとなっており、会話授業においては、特にこれらの点に配慮した指導が求められる。
◎ 閉会挨拶
◆ 終了後,懇親会(17:20~予定)
懇親会のご参加を希望される方は,事前に第98回例会参加申し込みフォームより例会参加希望と同時にお申し込みください.懇親会の詳細については,上記フォームをご参照ください.