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第86回例会も,新型コロナウイルスに関わる状況に鑑みて,オンラインで開催いたしました.
〈要旨〉本発表は、大学での韓国語教育におけるオンライン授業の実践と、学習者の意識調査の結果から、オンラインを活用した学習という新たな学びの可能性を探ることを目的とする。
まず、明星大学での韓国語教育の現状をまとめた上で、2020年度に行った、Zoomと明星LMSによるオンライン授業の実践を報告する。また、学期末に行った学生の意識や達成度に関するアンケート調査から、①Zoom授業の成果と課題、②明星LMSでの学習コンテンツや小テスト、課題などの成果についての分析結果を示す。とりわけ、予習用動画ファイルなどのコンテンツを自由に活用できることや、Zoomのブレイクアウトルームでの学生同士の練習は学習に効果的であることが分かり、これらのツールは、従来の対面授業を補い、併用できる新しい学習方法の一つとして位置付けられることが分かった。一方、解決すべき課題としては、学生の学びへの不安や通信環境による学習への不公平さ、過重な課題などの声があった。
이 발표는 대학에서의 한국어 교육의 온라인 수업 실천과 학습자 의식 조사 결과를 바탕으로 온라인을 활용한 학습이라는 새로운 배움의 가능성을 찾는 것을 목적으로 한다.
〈要旨〉島根県立大学では、GPE (GLOBAL PARTNERS IN EDUCATION)システムによるオンライン英語教育を実施しており、韓国語教育においても2017年からオンライン交流による授業を試みてきた。本発表は、2020年度秋学期に試みた、オンライン交流による韓国語教育の実践報告を目的とする。
日本語を専攻としている韓国の学生と教養科目として韓国語を学んでいる本学の学生、計37名が、バーチャル空間で3つの話題について、それぞれの目標言語を使い交流授業を行なった。
このオンライン交流授業を通して、韓国語の表現力や発音能力を身につけると同時に、異文化コミュニケーション能力を高め、韓国語学習のモチベーションを保持することが期待できる。
新型コロナの影響により、留学や研修の道が閉ざされている中で、ICT利用の教育を見直し、多角的な授業方法の可能性を提示する。
【休憩】〈要旨〉本発表では、日本や韓国では多く知られていないNIS諸国における韓国語教育の現状について、報告者が2019年秋以降、現地で行ってきた調査結果をもとに報告する。具体的にはカザフスタン、ウズベキスタン、ロシア(沿海州地域)の中・高等教育機関、韓国系教育機関、高麗人系教育機関、ハングル学校(プライベートスクール)で実施した学校見学、インタビュー調査、参与観察の結果をもとに、当地域における韓国語教育の特徴、近年の動向と課題、国家・地域間連携のあり方について考察する。
また、部分的にではあるが、現地の高麗人ネットワークと韓国語教育における接点についても分析を試みる。
発表においては画像や動画を多く提示し、現地のイメージを掴みやすいよう工夫したい。
〈要旨〉4次韓流ブームの勢いもあり、コリア語学習者が増加している。と同時に、学習者層にも変化が見られる。筆者は東京都を中心としたいくつかの高等学校でコリア語を教えていることから、ここ最近、高校生学習者の増加を実感している。
本発表では、筆者の勤務校の生徒たちが高等学校の第二言語科目としてコリア語の授業を受講する以前にどのような学習歴があり、また受講の際にどのような学習目標や動機を持って授業に参加しているのかを、学期初めに実施したアンケート調査から分析し考察を試みる。学習目標やコリア語科目受講者のアンケート調査の結果をもとに、日本の高等学校におけるコリア語教育の現状と改善すべき課題について究明する。
さらに、今後の高等学校におけるコリア語教育の向上のための教材開発に向けての方向性を、現在高等学校で使用されている教材の分析をもとに提示する。
〈要旨〉本発表では、テレビドラマの対人コミュニケーション場面に見られる打ち解けた言語表現の中で「俗語」を取り上げ、それらに日韓の差は見られるか、もし見られるとすればどのような差があり、それらがどのような役割を果たしているのかについて考える。考察の対象とした作品は、原作が韓国語版である『굿닥터(グッド・ドクター)』(2013)1話~20話(約1000分)と、その日本語版である『グッド・ドクター』(2018)1話~10話(約500分)である。作品を選定するにあたっては、ウチ・ソト・ヨソという3軸を立てていることから、仕事現場が舞台となっている作品を選んだ。2作品を分析した結果、1)俗語は相手を罵る効果と親近感を与える効果とで2分類できる。2)使用された俗語の量は、日本語より韓国語のほうが多い。3)韓国語の場合は、男女を問わず俗語をよく用いる。4)両言語の間でその差が一番顕著だったカテゴリーは、ソトである。 上記の結果を韓国語教育にどのように反映させればいいか、聴衆の皆さんと考えてみたい。
[2021/03/22] 盛況のうちに終了しました.ご参加くださった皆様,ありがとうございました.
第87回例会も,新型コロナウイルスに関わる状況に鑑みて,オンラインで開催いたします.
第88回例会も,新型コロナウイルスに関わる状況に鑑みて,オンラインで開催いたします.
世話人会報告 13:20−13:30
報告者:須賀井義教(近畿大学・朝鮮語教育学会代表)
研究発表1 13:30−14:15
司 会:朴鐘厚(獨協大学)
発表者:南潤珍(東京外国語大学)
韓国語の社会文化的特性を反映した教材における言語項目の選定について
한국어의 사회문화적 특성을 반영한 교재의 언어항목 선정에 대하여
研究発表2 14:20-15:05
司 会:朴鐘厚(獨協大学)
発表者:印省熙(早稲田大学)山田佳子(新潟県立大学)白寅英(獨協大学)宋美玲(東京外国語大学)
韓国語学習者の誤用防止のためのドリル問題の試案
한국어 학습자의 오류 방지를 위한 드릴 문제 시안
研究発表3 15:10−15:55
司 会:丁仁京(福岡大学)
発表者:斉藤信浩(九州大学)林炫情(山口県立大学)淺尾仁彦(情報通信研究機構)李在鎬(早稲田大学)須賀井義教(近畿大学)
kReadabilityを用いた韓国語検定試験の読解文章難易度比較
kReadability를 이용한 한국어검정시험 독해문장 난이도 비교
研究発表4 16:00-16:45
司 会:崔銀景(長崎外国語大学)
発表者:崔文姫(中京大学)
日本人韓国語学習者の発話に対する韓国人大学生の印象評価
일본인 한국어 학습자의 발화에 대한 한국인 대학생의 인상평가
実践報告5 16:50−17:35
司 会:崔銀景(長崎外国語大学)
発表者:李銀淑(大阪女学院大学)大山牧子(大阪大学)岩居弘樹(大阪大学)
flipgridを活用した韓国語発信型授業の試み
flipgrid를 활용한 한국어 발신형 수업의 시도
要旨
1南潤珍 한국어의 사회문화적 특성을 반영한 교재의 언어항목 선정에 대하여
본 발표는 한국의 사회문화적 특성을 반영하는 대학생용 한국어 교재 개발에 필요한 언어항목의 선정과 관련하여 다음 사항을 검토한다. ① 한국어 교재의 구성 요소로서 언어 기능 및 문화 지식의 제시에 더하여 한국어의 사회문화적 특성을 반영한 학습 항목 제시의 필요성. ② 한국어의 사회문화적 특성을 고려한 학습 항목으로서 커뮤니케이션 기능과 언어 항목의 조합을 추출하는 방법의 모색 ③ 커뮤니케이션 기능과 언어항목의 조합을 통해 파악되는 한국어 학습 항목 선정의 방향성
2印省熙 韓国語学習者の誤用防止のためのドリル問題の試案
近年、韓国語学習者の増加が続いているなか、日本語母語話者を対象とした韓国語の誤用防止のための指導案やドリル集は充分とは言えない。 学習者が犯す多様な誤用を未然に防ぐためには、誤用を防ぐための方策を盛り込んだ指導案に加え、実践的なドリル問題が必要である。 本研究陣は、すでに「学習者の作文資料における誤用の研究」を行い、『韓国語誤用防止のための手引き-作文の誤用例に基づく指導案-』(2018, 私家版)を作成した。現在はそれに続き、指導案内容の修正・補完と並行してドリル問題の作成に取り組んでいる。 今回の発表では、誤用防止のためのドリル問題の試案を発表し、その適格性についての意見交換を通じて今後の研究の方向性を定めたい。
3斉藤信浩 kReadabilityを用いた韓国語検定試験の読解文章難易度比較
韓国語能力試験(TOPIK)とハングル能力検定(ハン検)には,各配当級に読解問題がある。それぞれの読解文の難易度を比較することは,双方の検定試験の比較に役立つ。淺尾他(2021)によって開発されたkReadabilityは,終止形と連体形の差,連体の頻度などの複数の要因から,その文章の複雑性を解析するツールである。TOPIKは2010年の第20回から2012年の第28回までに実施された8回,ハン検は同時期に合わせて2010年の第34回から2013年の第41回に実施された8回の試験の読解文を分析対象として比較を行なった。 その結果,文章難易度を表すリーダビリティスコアは,TOPIKは,初級1.73(文長13.63)<中級2.66(文長24.91)<高級2.84(文長27.70)となり,ハン検は,5級0.90(文長8.77)<4級1.46(文長9.19)<3級2.00(文長12.17)<準2級2.30(文長14.68)だった。本発表ではこれらの数値の比較と検討を行い,加えて,新聞などのリーダビリティスコアとも照合しつつ,TOPIKとハン検の読解問題の難易度を分析していく。
4崔文姫 日本人韓国語学習者の発話に対する韓国人大学生の印象評価
本発表では、日本人韓国語学習者の発話に対して韓国人大学生がどのような観点から学習者の発話の上手さを判断するのかについて、印象評価の調査結果をもとに報告する。さらに、学習者の「発話の上手さ」と、韓国人大学生が学習者に対して抱く「親しみやすさ」および「話しやすさ」との関連についても考察する。調査は、日本人大学生の韓国語学習者(中上級レベル6名)の発話データ(インタビュー場面、発話時間1人10分程度)をもとに、韓国人大学生73名を対象に印象評価を実施した。大きいスクリーンに学習者のインタビュー場面を映し、韓国人大学生がそれを視聴しながら調査者が予め用意した調査項目に関して5段階評価をする方法を採択した。調査で得られたデータをもとに、因子分析やパス解析を通して検討する。
5李銀淑 flipgrid를 활용한 한국어 발신형 수업의 시도
본 연구는 교육용 동영상 도구인 flipgrid 를 활용하여 학습자의 말하기 능력을 향상시키기 위한 시도이다. 학습자에게 학습한 내용을 토대로 flipgrid에 동영상 과제를 수행하게 한다. 결과물은 학습자간 공유가 가능하여 상호 점검도 가능하며 동영상으로 댓글을 달 수 있다. flipgrid 는 학습자의 인원이 많은 수업에서 말하기 시험을 시・공간적 제한없이 활용할 수 있으며 비대면 수업에서도 효율적으로 사용할 수 있다. flipgrid 사용에 대한 학습자들의 의견을 조사한 결과, 학습자들은 수업 내용에 대한 이해력이 높아지고 학습에 대한 내적 동기도 높아진 것으로 밝혀졌다.
開会挨拶
「著者に聞いてみたい教科書の使い方」
この企画は「この教科書,どうやって使うんだろう?」「この教科書でどんなアクティビティができるんだろう?」など,語学教師の視点からの疑問を解消するべく,“説明・解説が欲しい教科書・教材”に,例会委員会から打診して,著者にプレゼン(10分程度)をお願いする,という企画です。会員の皆さんの中から「この著者の話を聞いてみたい!」というアンケートの結果をもとに,以下の6名の豪華な著者のみなさんが参加してくださいます!!
10:05〜11:40 プレゼンテーション(各発表10分+各出版社5分程度)
朝日出版社・須賀井義教 『確認しながら覚える韓国語基本単語帳』
アスク ・李志暎 『できる韓国語 初級1・2 会話トレーニング』
駿河台出版・金昌九 『テーマで読む韓国語[中級編]』
白水社 ・小島大輝 『ロールプレイで学ぶ韓国語』
白帝社 ・長谷川由起子『コミュニケーション韓国語 聞いて話そう』
HANA ・杉山明枝 『読む,書く,聞く,話す 4つの力がぐんぐん伸びる! 韓国語中級ドリル』
11:40〜12:00 質問タイム
13:20〜13:30 世話人会報告
報告者:須賀井義教(近畿大学・朝鮮語教育学会会長)
13:30〜17:55 研究発表
発表1 研究発表 13:30-14:10
司 会:金亨貞(東北学院大学)
発表者:宇都木昭(名古屋大学)・金珉秀(東海大学)・神長伸幸(ミイダスHRサイエンス研究所)
学習者のハングル習得過程とその個人差―多肢選択テストの分析―
학습자의 한글 습득 과정과 그 개인차: 다지선다 테스트 분석
発表2 研究発表 14:15-14:55
司 会:金亨貞(東北学院大学)
発表者:金智英(神戸松蔭女子学院大学)
連結語尾「고」と「서」の効果的な学習展開について
연결어미 「고」와 「서」의 효과적인 학습방법에 대한 고찰
発表3 実践報告 15:00−15:40
司 会:小島大輝(近畿大学)
発表者:奈良美香(梅光学院大学)
動画コンテンツ「세바시」を利用した学生自身による聴解問題作成の試み
동영상 ‘세바시’를 활용하여 학습자가 주도한 듣기 문항 개발 수업 사례 연구
発表4 実践報告 15:45−16:25
司 会:小島大輝(近畿大学)
発表者:李鉉淑(コリア国際学園)
初級韓国語における「言語・国・民族・文化」を問い直す試み
초급 한국어 수업에서의 「언어, 나라, 민족, 문화」에 대한 재인식
発表5 調査報告 16:30−17:10
司 会:崔文姫(中京大学)
発表者:丁仁京(福岡大学)
長崎県の観光施設における韓国語対応の現状と課題
나가사키현 관광 시설의 한국어 대응 현황과 과제
発表6 調査報告 17:15−17:55
司 会:崔文姫(中京大学)
発表者:崔銀景(長崎外国語大学)
韓国留学に関する報告 -九州所在のN大学を中心に-
한국 유학에 관한 보고 - 규슈 지역 소재 N대학교를 중심으로 –
要旨
1 宇都木昭(名古屋大学)・金珉秀(東海大学)・神長伸幸(ミイダスHRサイエンス研究所)学習者のハングル習得過程とその個人差―多肢選択テストの分析―
経験的にいって朝鮮語学習者の多くはハングルの基礎を問題なく習得するが、一部にハングルの習得に困難を伴う学習者がいる。しかし、その実態は十分に捉えられておらず、困難さの原因も明らかにされていない。このような問題意識のもとで、発表者らの研究チームはハングル書き取りテストを分析し、ハングル習得の個人差を示唆する結果を得た(宇都木・神長 2018)。今回の調査ではこれをふまえ、学習者を対象としたオンラインの多肢選択テストを実施した。このテストは1回分のテストが7問から成り、それぞれ単音節の音声が再生され四つの文字の選択肢が呈示される。テストは学期中に9回実施した。分析の結果、学習者の成績は二峰性の分布を示し、大部分の学習者が満点に近い得点を示す一方で、低い得点を示す学習者がわずかに存在するという結果が得られた。また、問題別にみると、/w/音の合成母音とかかわる問題において、誤答が多い傾向にあった。
2 金智英(神戸松蔭女子学院大学)連結語尾「고」と「서」の効果的な学習展開について
本発表は、韓国語の連結語尾「고」と「서」について、特に日本語母語話者に必要な学習内容と効果的な展開を探っていくものである。 発表では、まず、「고」と「서」に関するいくつかの先行研究を踏まえながら本研究で課題とする部分を明確にしたうえで、初級から中級にかけて段階的に提供されるべき意味機能や展開方法について考えていく。 当該文法項目に関する解説は曖昧になりやすい。それには、そもそも二つの連結語尾の機能が類似していること、従ってテ形との対応関係も複雑になること、また、特定の連結語尾と結合する動詞の存在も複合的に関わっていると考えられる。発表では、まず、このような関係性をできるだけシンプルに、日本語母語話者の韓国語学習に必要な情報としてまとめることを試みる。そして、学習レベルに合わせて提示される意味機能の展開を提案し、それと並行して行われる語彙項目としての学習方法についても考えていく。
3 奈良美香(梅光学院大学)動画コンテンツ「세바시」を利用した学生自身による聴解問題作成の試み
本発表は、日本語を母語とする中・上級レヘルの韓国語学習者の聴解力を向上させることを目的として、梅光学院大学の韓国語専攻の3年生に、韓国の動画コンテンツ「세바시」を媒体として、学生自身に聴解練習問題を作成させ、発表させるという試みを行った。その後、発表者本人とその発表を聞いた受講生達による評価アンケートの調査を実施した。その結果、「難しい課題ではあるか、聴解力および語彙力の向上を実感することができた」、「内容を簡潔にまとめる練習となった」、「多種多様な세바시の講演内容か人生観の参考となった」、という点かわかった。学生自身に聴解練習問題を作成させ、発表させるという試みは、この方法か聴解力の向上たけてなく、論理的思考力を鍛え、視野までも広がるという効果的な学習方法であることを示した。
4 李鉉淑(コリア国際学園)初級韓国語における「言語・国・民族・文化」を問い直す試み
近年、言語教育においても「多様性」に関する議論が活発に行われるようになった。本発表は、「学習者の多様性」及び「目標言語話者の多様性」についての意識化を目的とし、2021年度後期にA大学の初級韓国語で実施したビジターセッション活動を紹介する。 授業は、オンラインと対面のハイブリッド型で行われ、そこで複言語複文化環境で育った「多様な目標言語話者」3人との対話を試みた。 活動後の振り返りから、学生たちは、3人との対話を通して「在日コリアンが身近にかなりいることを知った」、「国など関係なく一人の友達として出会えてよかった」、「韓国人だからみんな韓国語をしゃべれるわけではないことに気づいた」などの意見が得られ、「韓国語=韓国=韓国人=韓国文化」といった視点に変化が見られた。また、目標言語話者として参加した学習者の一人は、「これから受け身ではなく、自分たちの存在をより多くの人に発信していきたい」と述べ、エンパワーメントの可能性も示唆された。今後韓国語教育における深い学びにつながると期待できる。
5 丁仁京(福岡大学)長崎県の観光施設における韓国語対応の現状と課題
長崎県は、韓国人にとって最も近く、気軽に往来できる外国と言え、歴史的にも韓国と深い係わりを持っている県である。また、古くから中国大陸や朝鮮半島からの文化を受け入れ、江戸時代には西洋文化の窓口として栄えたことにより、東洋と西洋が融合した独特の文化が育まれた場所としても有名である。インバウンド観光促進の目的の一つは、外国人に日本の歴史や文化を実際に見聞することにより、日本を理解し親しみを持ってもらうことである。その点、北部九州の長崎県は東アジアの各地域と歴史的に関係する観光資源が多く、これらを韓国語で適切に解説することは日韓の相互理解に大きく貢献するものであると考えられる。本発表は、長崎県の観光現場における多言語対応としての韓国語、具体的には、観光施設の案内板や展示物の解説文などの設置現状を調査し、さらに他地域(広島市、函館市など)との比較検討を行い、課題と改善策を検討するものである。
6 崔銀景(長崎外国語大学)韓国留学に関する報告 -九州所在のN大学を中心に-
新型コロナウイルス感染拡大による海外派遣留学の中止や延期に伴い、留学に対する研究が滞っている。本発表では韓国留学制度を中止していない、九州地域所在のN大学を中心に、コロナ禍における韓国留学の状況と、韓国留学に対するアンケート調査の2点について報告を行う。後者のアンケート調査は韓国留学を準備している学生、韓国にて現在留学中の学生、留学が終わった学生の3つのグループを対象とする。すべてのグループに共通する調査項目は韓国留学を決めたきっかけ、韓国留学に関する情報収集方法、韓国語能力に対する自己評価、留学に関する不安などである。これらの項目に併せ、現在留学中の学生グループには、現状把握に焦点を当てた設問が追加される。本研究は、学生の留学指導に必要な具体的手がかりを見つけることを目的とし、今回の調査を皮切りに、引き続き今後も調査を実施していく予定である。